自分で言うのもなんだが、容姿はどちらかというと良いというか、たぶん「美人」の中に入れてもらえる方だと思うので、親や親戚から時々「見合い写真」なるものも見せられるような事もあった。
でも、そんな見ず知らずの人と結婚を前提におつきあいするなんて、自分自身では考えられる事ではなく、仕事も好きなので、いつも断っていた。
なんとなく『仕事中毒女』のような評判になり、結局この年までズルズルとヴァージンを引きずる事になった。
同じ会社に入って来たA君は2年年下の、まだ子供っぽい気配の残る、笑顔の可愛い奴だった。
ところが、仕事中、会議やデスクワーク中に見せる真剣な顔つきが妙に大人びていて、ドキッとさせられる事があった。
同じ部署のA君には、なにかと面倒を見てやり、すっかり姐さん気分の私だった。
幼い雰囲気で頼り無い感じのA君は、なにかと先輩の男性社員からいじめられるような事もあり、可哀想だった。
でも、ふと顔をあげた時に向かいに見える彼の真剣な顔つきは、むしろ実際の年令よりも5才くらい上に見えるような頼もしさが垣間見えた。
実際、彼の書いた企画書は、同期の連中よりもずっとマシなものを書いている事も多く、見た目だけでいじめられている彼が本当に可哀想に思えた。
そして、その彼のギャップがなんとなく気になるようになってしまった。
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