「私は障害者向けのデリヘル嬢」(大森みゆき/ブックマン社)

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「私は障害者向けのデリヘル嬢」(大森みゆき/ブックマン社)

 「私は障害者向けのデリヘル嬢」(大森みゆき/ブックマン社)
   
→著者の大森みゆき(仮名)は現代に舞い降りた天使ではないかと思う。
いくらカネを取るとはいえ、彼女の存在が身体障害者のどれほどの慰めになったか。
山田太一が「男たちの旅路」で身体障害者の性欲を描いたのはおよそ30年まえ。
障害者問題は少しずつ改善していっているのかもしれない。
さて、どうして大森みゆき(仮名)は身体障害者の性のはけ口を志願したか。
   
「身体障害者のお客様なら、比較的女性に慣れていないような気がして、
過激で高度なテクニックを持たない私でも
手や口のサービスだけでイカせられるかも、と思ったからだ」(P38)
   
動機はなんでもいい。あんたは偉い! えろいではない、えらい!
いざ始めてみるといろいろな発見があったという。
たとえば、身体障害者のチ○○○はチ○○がたまっていて非常に不潔である。
自主規制はやめよう。
身体が不自由な人のペニスは恥垢が異様なほどたまっているらしい。
さすがのヘルパーもそこまでは洗わないからだ。
これをフェラチオをするのは地獄だったと大森みゆき(仮名)は述懐する。
   
盲目の人でおかしな人がいたという。風俗嬢はお客さんに抜いてもらおうと思う。
だが、この盲人は目も見えないくせに(いや、それだからか)、
やたら女をイカせることに執心していたという。
著者はひたすら演技をした。
顧客は1回も射精しなかったが、これで満足したらしい。
なんともリアルな実体験である。
   
言語不自由のみならず手足さえも動かぬ障害者を相手にしたときの告白は壮絶だ。
まず大森みゆき(仮名)は全裸になる。
それから四苦八苦してお客さんの衣服を脱がせる。
このときも言葉によるコミュニケーションができないのだから骨折りである。
言葉も通じない相手の男根をどうにか刺激して射精まで持ってゆく。
大森みゆき(仮名)は結局、最後まで顧客が満足したのかどうかわからなかった。
しかし、この障害者と意思疎通の可能なヘルパーによると、
身動きもままならぬ当該人はかつて味わったことのない満足を経験したという。
著者はこの仕事に圧倒的なやりがいがあることを知る。
   
本書における大森みゆき(仮名)の主張はこうである。
身体障害者にも性欲があって当たり前だ。
日本社会はどうにかして障害者の性欲を充足させるシステムを作るべきではないか。
わたしはまったく賛成である。
著者の勇気ある告白に拍手したいと思う。
   
   
  
   


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