正解か、間違いか

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正解か、間違いか

廊下で部活の先輩を殴った。名前はK。
とにかく実力がなく、うざいデブだった。
当然、女にはもてない。
教室では「女なんかいらねー」と硬派気取って、コンビニでエロ本を読み、部活をさぼってナンパしていた。

なぜか男の人望だけは厚かった。
「俺のほうができる」と何事にも首を突っ込んで逃げるような奴が、だ。
奴には仲間がいた。
半分はうわべの付き合いだったらしいが、それでも俺にヤりかえすには十分だった。


公園に連れ出された。完敗だった。
20対1じゃ勝ち目はない。
公園の真ん中でぶっ倒れた。俺が殴り倒したのは10人くらいだった。

奴は公園にこなかった。とんでもない根性なしだった。


翌日、朝から視線が痛かった。
誰とも話さなかった。数少ない親友さえも拒否した。二次紛争がおきては困るから。
それでも懸命に話しかけてきた女がいた。

「春」だった。中学あがるちょっと前からの馴染みだ。
俺が見た中じゃ一番かわいく、しっかり者で昔からよく遊んだ。
高校あがって互いに会うこともなく、会ったのも1ヶ月ぶりぐらいだった。

春「どうしたの?なにかあったの?」

大(←俺)「・・・」

春「話してくれなきゃわからないよ?」

大「お前に話さなきゃいけないことなんてない。」

春「お前にはなにも隠さないって・・・」

大「昔の話だろ。」

春「でも・・・話してほしい。」

大「・・・」

春「なんでいつもそっぽ向いて逃げるの!?そんなんだから大君は・・・」

親友の晃が割って入ってきた。

晃「春ちゃん、呼び出しくらってる。」

といって、春を連れ出した。
うそ臭かったが、なんとか逃げ切れた。
でも、春の顔は微妙に泣いてた。

その後、春がKと会話してるのを見ていらだった。
嫉妬というのか、とにかくKを殴って蹴飛ばしたいと思った。
好きなんじゃないか?とは思っていたが、好きっていう確信もなかった。
だからいけなかった。


晃には「謝るついで、告っちゃえば?」と笑って言われた。

それから真剣な顔で
「お前が一番恐れてることが起きるかもしれねーぞ。早ければ早いほうがいいからな!」
と言った。

前に晃から「春ちゃんはお前のことが好きだってよ」
と言われた。つまり、
「俺がそっぽ向いてたから、Kに行くかもしれない」
ということになる。

正直経験はあるが、春とやるのは気が引けた。
本当に好きなら自分をコントロールするのに一杯になる。

俺の知ってる中では、春はおそらく初めてだ。
初めてで絶望を見せたくない。春が俺を好きならなおさらだ。

大「今日、謝る。その後は勝手にやるから、勝っても負けても慰めんのとかすんなよ。」

晃「ほいほい。口止め料は?」

大「話せる相手いるか?」

晃「いない」

大「じゃぁ無しだ」

授業が終わって速攻で帰った。

やけに静かな帰り道だった。


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