浮気発覚でわかった嫁の性癖[第5話]

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浮気発覚でわかった嫁の性癖[第5話]
あのまま寝入ったものの、思ったよりも眠りが浅かったようで、朝の6時には目が覚めてしまった。

とりあえず、会社に連絡を入れしばらく休む旨を伝えた。

基本的に出張中は休みもほとんど無い上に残業も多いので、一時帰宅時はその分の代休を取るのが通例になっており、特に問題はなかった。

俺が目覚めた時にはC子はすでに起きていたようで寝室には居なかった。

さて・・・と何からやるべきかと考えを走らせる。

正直言って昨日のあまりの状況に現実味がどんどん無くなってきているのは確かで、怒りのままに突き進むといったようなことは出来そうになかった。

が、さすがに相手のガキをそのままにしておくわけにはいかない。

これだけはいくら呆気に取られたとはいえ、忘れようはずも無かった。

俺は起き上がり居間に向かった。

C子はキッチンにおり、食事の支度をしていた。

俺が後ろから声をかけるとC子はビクッと震えてこっちを振り向いた。

充血した赤い目は昨日のままか、それ以上に酷くなっている。

それなのになぜか化粧だけはしっかりとし直している。

俺「とりあえず、俺はしばらく休みを取ったので、今日はキミも休むと会社に連絡を入れろ」

C子「はい、すでに休みを連絡してあります・・・」

C子は聞き取りにくい小声でそう答えた。

俺「Oだったか?相手の男にも休んで家で待ってるように伝えろ、昼には一緒に行くぞ」

C子「・・・ハイ」

俺「あと、飯はいい。とてもじゃないが食う気にはなれない」

C子「・・・」

C子の目に涙が浮かび、口元が歪む。

俺「昼まで部屋で出張の報告書をまとめるから、それまで大人しく待ってろ」

C子「・・・」

部屋に向かいかけた俺にC子がしがみついてくる。

「・・・待って、お願い。もう一度、私の話を良く聞いて!」

俺はC子を強引に引っぺがした。

ばたんと音がしてC子は壁に背中をぶつけた。

俺「触るな。昼まで大人しく待ってろ。さすがに昨日みたいに、なし崩しに流されるわけにはいかない。いくらなんでもそんなことで今回の件が済むと思ってもらっては困る」

C子「・・・」

C子は打った背中をさすりながら、ううーっと顔を抑えて泣き始めた。

俺はそんなC子を尻目に部屋に篭った。

・・・さて、どうしたものか。

今、C子にああ言ったものの、昨日C子に散々抜かれたのは俺的には良かったようだ。

昨日の興奮がすっかり冷め、冷静になっている自分がいる。

C子が言うには、相手の男は請負会社の社員と言っていた。

と、なると本人はほとんど金は持ってないだろう、若い上に遊び人のようだし。

慰謝料を請求するにしても、本人に請求するよりもヤツの家族を巻き込んだほうが良さそうだ。

が、そこまで考えて重要なことに気がついた。

俺がC子と離婚するか否かで、そのあたりをどうするかも変わってくる。

・・・離婚するか、しないか。

昨日の時点では、もう離婚することしか考えてなかった。

信用できない女と暮らせない、信用できると思ったからこそ結婚した。

これは本音だ。

実際、C子に関しては女性的な魅力を感じた、惚れたから結婚したというよりは、結婚するなら堅い相手がいい、という理由が大きかった。

もうひとつは、俺は結婚願望は若い頃から強かったものの、派遣会社の正社員とはいえ、いわゆる非正規雇用には変わらない。

基本給も少なく、大卒で大手企業に勤めた同年齢と比べると待遇は格段に落ちる。

実際、俺はC子と結婚したときも貯金はほとんど無かったが、C子は大卒で大手電機メーカーに就職し、そのまま勤続年数も15年近い。

しかも、それらをほとんどきっちり結婚費用に貯金していたようで、結婚費用もこの家の頭金もC子持ちだった。

出張手当や残業、休日出勤が多い今は、俺のほうが収入が多くはなったが、社会的な待遇で言えば現在においてもC子のほうが良いのは間違いなかった。

そこまで考えてイヤなことに思いが走った。

・・・C子はあのガキに金を貢いではいなかったのだろうか。

二十歳そこそこであろう若い男が、30代半ばを過ぎた女をそういった金銭的なメリットも無しで相手するだろうか。

俺はパソコンを立ち上げて、インターネットで自分とC子の口座の残高照会をしてみた。

「うーーん・・・」

俺の口座もC子の口座も過去の履歴を遡ってみたが、特に大金が引き出された形跡もなく、C子の口座からは過去3ヶ月で15万程度引き落とされているだけだった。

以前からずっと月5万をC子は食費と必要経費として引き落としてるだけなので、あのガキと付き合い始めてから金遣いが荒くなったという形跡はなかった。

俺のほうの口座は、口座引き落としの分が落ちているだけで、C子が金を引き出した形跡はなかった。

とりあえずは、現時点では金銭的に貢いでるということは無かったようだ。

俺はますますどうしようか悩み始めていた。

一度浮気した女は絶対に二度目がある。

それは俺の数少ない女性経験から得た最大の教訓だった。

実際、最初の彼女も何度となく浮気をしたし、二回目の彼女に至っては、蓋を開けてみれば、俺が浮気相手だった。

そう考えると、今回若い男と浮気をしたC子とは離婚したほうがいいと思う。

が、前の彼女達とC子が違っていたのは、許してくれとC子が叫んでいることだ。

以前の彼女達は浮気を含めて、どこで何をしていたかを突っ込むと必ず開き直ってきた。

「束縛する男は嫌い」「イヤなら別れてもいい」と。

俺が何度となく許し、寛大な男の振りをしていたのもあったんだろうが・・・。

元々そういった連中と承知の上で付き合っていたこともあり、女にさほど貞操観念を求めるほうではない。

前の彼女たちも、俺のことを本命とするのであれば、別れることはなかっただろうと思う。

あくまでキープであったからこそ、それがイヤで別れた。

今のC子は、俺とは別れたくない。

相手の男とは別れると言っている。

後者を単純に信じることは出来ないが、少なくとも俺と別れたくないというのは本音らしい。

あと・・・。

心情的なもので考えるのであれば、昨日のC子とのセックスはかつてないほど興奮したのは間違いなかった。

以前までのC子とのセックスは、義務的に俺のほうが求め、淡白なセックスをしているだけだった。

つまらないと思いつつも、楽しもうとする努力をするまでの情熱も無かったし、正直言って性的な魅力をC子には、あまり感じなかったというのがある。

胸が大きくスタイルも悪くはなかったが、年を経るごとに腹がぽっこりとしてくるのはどうしようもなかったし、それでいながらセックスのときは何も知らない若い娘のような態度を取るC子に辟易していたのも確かだ。

『信用できないキミに魅力なんかない』と言ったものの、昨日のC子であれば、少なくとも性的な魅力を感じることは間違いない。

とはいえ、離婚しないとなると相手のガキを必要以上に責めるのも難しくなる。

それでは腹の虫が収まらないのも本音だ。

どうしたものか・・・。

そんなことを考えていたら部屋をノックする音が聞こえた。

もう昼か、と思って時計を見たらまだ9時にもなっていなかった。

「どうした。昼まで仕事すると言ったじゃないか、何の用だ」

鍵を開けずにドアごしにそうC子に叫ぶ。

C子「・・・ごめんなさい。いま、O君とそのお父さんが・・・」

俺「は?」

俺はドアの鍵を開け、C子に問いただした。

俺「Oとその親がどうしたって?」

C子「いま、見えられました」

俺「はぁ?!来たってこと?」

C子「・・・ええ」

俺は、ばたばたと居間へ向かった。

そこには、昨日のガキ・・・Oと、体格の良い年配の男がいた。

年配の男は俺を見るなり、がばっと立ち上がって近づいてきた。

Oの父「このたびは愚息がとんでもないことをしでかしまして・・」

突然その場で床に頭を擦りつけた。

唖然としてみていると、Oのほうも同じように横に座り、「すいませんでした!!」と土下座した。

俺「と・・・とりあえず、頭を上げて座ってください。そうでないと話も出来ません」

もう完全に怒りも何もかも萎えてしまった。

溜息しか出ない。

とりあえず、二人を座らせて話を聞いた。

Oのほうに一通りの経緯や事情を聞いてみたものの、昨日C子から聞いたのと概ね同じだった。

相手の父親のいる前で聞くのも躊躇したが、避妊についてもきちんとしてたと言い、俺が出張から帰ったら、関係をやめるつもりだった、とも言った。

・・・まあ、バレなかったら関係は続いてただろ、と俺は心の中で毒づいた。

Oの父「本当に馬鹿な息子でして、申し訳ありません。よりによって人様の奥様に手を出すなどと・・・」

Oの父は横にいるOを睨みつけながらそう唸った。

Oの父「息子がこんなことをしでかしておいて、何を都合の良いと思われるでしょうが、なんとか示談で話をつけてもらえないでしょうか?今回、示談金のほうも用意してまいりました」

俺「はぁ・・・」

なんというか、展開に置き去りにされ続ける状況にどうでもよくなってきた。

Oの父「そして、誠に勝手なお願いですが、奥様のお勤めになる◯◯には内密にして頂ければと・・・」

俺「・・・」

このOの父の顔をどこかで見たことがあるなと思っていたが、その言葉で思い出した。

C子の努める◯◯の下請けの◯◯社の社長だ。

俺も派遣されていたとき、何度か見たことがあった。

下請けとはいえ、社員数百人規模の結構大きな工場を持つ会社だ。

詳しく話を聞くと、最近は◯◯での構内請負もやっているらしく、次男のOも将来的に会社を手伝わせる為に、勉強の為◯◯に派遣していたらしい。

・・・まあ、そりゃ下請けの社長の息子が元請けの会社の既婚女性社員と関係を持ったと分かれば、色々まずいわな。

最近では、外に出さない構内請負(まあ、9割が偽装請負だが)が大手電機メーカーの主流だし、コスト的に構内請負に劣る下請工場を切る口実としては十分だ。

示談金として持ってきた金額は200万。

よく調べたわけではないが、こういった状況での金銭としては決して少なくない額だと思う。

(・・・ここらで手打ちしたほうが賢いのかな)

そう思いつつも、どうしてもなぁなぁで済ますわけにはいかないことがあった。

俺「・・・示談の件、もうひとつ条件があるのですが、息子さんを◯◯から引き上げて頂きたいのですが。さすがに妻と同じ職場のままでは私も納得は出来ません」

Oの父「それはごもっともです。もちろん、もうこの馬鹿息子は◯◯から引き上げます。こんなことがあったからには、私のほうもこいつをこっちへ置いておけませんし、県外へ出すつもりでおります」

・・・まあ、それもそうか。

また元請け会社で同じことされたら慰謝料もいくらあっても足りないだろう。

俺「わかりました。示談のほうお受けさせていただきます。この件については、お互いにこれで忘れるということで」

社長はその俺の言葉を聞くとOの頭を抑えつけながら、何度も謝って帰っていった。

二人が帰った後、居間にC子を座らせ、こう切り出した。

俺「キミは結局のところ、どうしたい?」

C子「別れたくないです。そばにいさせてください。もう二度とこんなことはしません」

俺「そうか、だが二度としないというのは、まだ信用できない」

C子「・・・ハイ」

俺「だけど、俺と別れたくないという気持ちはわかった。なので、今から俺が出す条件が飲めるのであれば離婚はやめよう」

C子「ハイ!」

C子は、それを聞いてぱっと顔を輝かせた。

俺がC子に出した条件は・・・。

・こんなことがあったからには、俺は今の仕事は続けることは出来ないので退職すること。

・俺が退職して自宅から通える範囲で再就職が決まるまでは、C子が家計を支えること。

・携帯電話は解約すること。

・俺の要求(性的なことも含む)には素直に応えること。

・もし次に浮気が発覚した場合は、どんな理由があっても離婚すること。

C子はひとつひとつに頷き、その条件を飲むと答えた。

今の会社を退職することについては、難色を示すかと思ったが、そんなこともなかった。

次の仕事は「給料が安くても近辺で探す」と言ったときには、むしろ喜んだぐらいであった。

浮気されたことへの怒りが完全に消えたわけではないが、自分の想像に反してあまりに展開が早かったことと、C子が性的な面で俺好みになったのは間違いないこと、C子自身、俺に愛想をつかして浮気をしたというわけではないことを考えて、この辺で妥協しとくのがいいかと思い至った。

俺「まあ、いいや。疲れたので風呂入る。一緒に入ってマッサージでもしてくれ」

C子「・・・はい、わかりました」

頬を紅潮させ、笑顔でいそいそとC子は支度に急いだ。

<続く>

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