俺は硝煙の匂いと微かな煙が漂っているピストルを鞄にしまった。
薬莢をポケットにしまい込み、俺の痕跡を消す事にした。
ベッドのシーツに落ちた髪の毛を集めてはポケットにしまう。
アイスペールに湯とインスタントコーヒーを混ぜ、由香の身体に浴びせ次に冷蔵庫からウィスキーの小瓶を取り出し由香のチンポにかける。
そしてジュースやビールを部屋中にぶちまけ、触ったと思われる箇所の指紋を拭いて回った。
最後に窓を開け、飛び降りる事が出来るのを確認すると俺はタバコに火を点した。ゆっくりと肺の奥まで吸い込むと由香の身体でタバコを消す。
消した後のタバコをポケットにしまい込み、由香の身体に蒲団をかけた。そして由香の服と蒲団と枕に火をつける…火はゆっくりと燃え出した。
「アディオス」
両手にタオルを巻いた俺は窓の縁に乗り出し、俺の鞄と由香の靴を詰めた彼女の鞄をほうり投げた。尻穴がズキッと痛むが我慢して飛び降りた。
ゆっくりと立ち上がると俺はそっとその場所を離れた。
次の日の朝刊にはホテル火災と男性客の死亡記事が紙面に出たが、不審な点がかなりあるとだけ書いていた。
しばらくして由香の代理の担当者が俺の所に来たが、由香が休職しているとだけ告げて契約書を持ってきただけだった。
それ以降は疑われる事もなく、俺もソッチの道に進む事もなく平穏に過ごしている。
[完]