家庭教師の女子大生が恋をした生徒は鬼畜青年だった3
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16話
千佳 「ふぅ……さっぱりした。」
お風呂から上がった千佳は、濡れた髪の毛をタオルで拭きながらベッドの上に腰を下ろした。
ここは千佳が大学に入って一人暮らしを始めてから3年以上住んでいるアパート。
部屋の中は決して広くはないものの、女の子らしく綺麗に整頓されている。
1Kの平凡なアパートだが、千佳はこの部屋を気に入っていた。
部屋に友達を呼んで飲み会をしたり、時にはお悩み相談なんかもしながらいっしょに泣いたり笑ったり。
ここには千佳の大学生活の思い出が詰まっているのだ。
ここに住んでいられるのもあと数ヶ月。そう考えると少し寂しいような気がする。
しかし、千佳にとっての青春の大学生活は続いているのであって、まだ終わってはいない。
それどころか今日千佳は、その大学生活の中でも一番心を掻き乱されるような出来事に直面したのだから。
千佳 「……。」
髪にドライヤーを掛け終えた千佳はベッドの上に寝転がり、天井を見つめながら自分の胸の膨らみにそっと手を当てた。
まだ残ってる。
康介の手に触られたあの感覚が、まだ残ってる。
大きな手だった。
女性の手とは違う、少し日焼けしたような色の男らしい手。
それが自分の乳房をイヤらしく揉んできた。
ただの?揉む?ではない。あれは女を感じさせようとする揉み方だった。
激しくしたり優しくしたり、乳首を摘んできたり。
次々に康介の手から自分の体内に熱が送られてくるような感覚が続いて、すぐに身体が火照り、力が入らなくなってしまった。
それはつまり、正直に言えば、気持ち良かったという事だ。
千佳は高校生の康介相手に性的快感を感じていたのだ。
それも今まで感じた事がない程の快感を。
自分が胸を触られただけであんな声を漏らしてしまうなんて思わなかった。
前の恋人が相手の時はそんな風にならなかったのに。
康介の手つきは、まるで女性の身体を知り尽くしているかのような動きをしていた。
きっと女性の身体を触るのは初めてではないのだろう。
いや、それどころか随分と慣れているような印象だった。
ずっと切羽詰った状態だった千佳に対して、康介の態度は落ち着いていたというか、余裕が感じられた。
それは自分よりもずっと年上の男性に相手をされているかのような錯覚を覚える程。
あの時間だけ、康介は大人の男性だった。
そしてその大人の男性の腕の中は、とても心地が良かった。
もちろん緊張や恥ずかしさもあったが、それ以上に何か心のどこかで?安心?というものを感じている自分がいたのだ。
康介の体温、匂い。今でもすぐに思い出せる。
千佳 「ハァ……」
寝ていた身体をゴロンと横に向け、枕を抱き締める千佳。
千佳 「……私……」
高校生相手に何をしているんだろうと自問自答する。
康介君はまだ高校生なのに。
しかも恋人でもないのに、あんな事……。
ううん、高校生と大学生が恋愛をしてはいけないなんて事はないかもしれないけど。
でもこれって恋なのかな……。
分からないよ。
私は来年から社会人。康介君は来年もまだ高校生。
無理だよ……絶対無理無理。
そんな考えがグルグルと頭を駆け巡る。
千佳 「……康介君……」
もう一度自分の胸に手を当てる千佳。
胸が高鳴っているのを手で感じながら、自分で自分の胸を揉んでみる。
康介にされたのを思い出しながら。
そして片方の手を下半身に持っていき、スッと下着の中にいれる。
……濡れてる……
康介に対する気持ちが混乱する一方で、千佳の頭の中はすっかりピンク色に染まっていたのだ。
ずっと触りたかった。
いつものように駅まで送ってもらって、改札口で康介と別れてからずっと。
康介の事を思いながら、ここを刺激したいとずっと思っていた。
胸を触られて、火照ってしまった身体を早く慰めたかった。
着ている物を全て脱いで裸になり、本格的に自慰行為を始める千佳。
千佳 「ああ……康介君……ハァ……」
この夜、千佳は何度康介の名前を呼んだだろうか。
名前を呼ぶ度に、解れた女の割れ目から溢れた愛液は、ベッドのシーツに染みを作っていた。
17話
最近千佳がよく1人で行くカフェがある。
康介の家庭教師をやるようになってから見つけた、小さなカフェ。
人気店という訳ではなく、席は空いている事が多く、時には客が千佳1人だけなんて事もある。
しかし人混みが苦手な千佳にとってそれは好条件であった。
メニューは豊富とは言えないけれど、どれも丁寧に作られていてコーヒーや紅茶も美味しい。
心地良いBGMが静かに流れるそんな店内で、1人ゆっくりと過ごす。それが最近お気に入りの千佳の至福の時間。
親友の尚子にもまだ教えていない、自分だけの秘密の場所。
康介の家から最寄にある駅の近くなのだが、ここでいつも家庭教師のアルバイトに行くまで千佳は時間を潰しているという訳だ。
そして今日も康介の家庭教師があるため、千佳はこの喫茶店で1時間程ゆっくりとした時間を過ごしていた。
……今度、康介君にここ教えてあげようかな……
そんな事を思いながら、紅茶を口にする千佳。
するとそのタイミングで千佳の携帯が鳴った。
尚子 『千佳、お誕生日おめでとう。来週になっちゃうけど誕生日プレゼント持ってくねっ!あとちゃんとおみやげも買ったから楽しみにしててね。』
と、現在初めてできた彼氏との初めての旅行に出掛けている、少々浮かれ気味の尚子から誕生日祝いメール。
あっ、私今日誕生日かぁ、忘れてたぁ……なんて事はない。
千佳自身、今日が大学生活最後の自分の誕生日である事はしっかり覚えていた。
千佳 「……はぁ……」
今日はお祝いメールが友人から何通も来た、あと母親からも。でもそれだけ。
それ以外に何かいつもと変わった事はない。
当日になるまでそんなに気にしてはいなかったが、いざ日頃となんら変わらない平凡な誕生日を過ごしてみると、やはり少し寂しい気持ちになる。
いや、正直に言えば凄く寂しい。
数日前に何人かの女友達からどこかのお店で誕生会をやろうかと提案されたが、千佳はそれを家庭教師のアルバイトがあるからと断ってしまった。
でも良いんだ、と千佳。
今日も家庭教師のアルバイト。
今日もいつも通り、あの康介の部屋で、2人きりで勉強をする。
なんとなく、それで良いんだと千佳は思っていたのだ。
最初は億劫だった家庭教師の仕事。
しかし始めてからもう数ヶ月。その時が過ぎるのはあっという間だった。
楽しい時間は早く過ぎるというあれだ。
そんな時間の中に、大学生活最後の誕生日が含まれていても別に良いじゃん。
千佳 「あと30分か……紅茶おかわりしちゃおうかな。あとケーキも。いいよね、誕生日だし。」
康介の分も持ち帰りで買っていって、あの部屋で2人で食べるのも良いかもしれない。
私、実は今日誕生日なんだ。ケーキ買ってきたからいっしょに食べない?
いやいやそれは変か。自分で自分の誕生日ケーキを買って行くなんて、しかも他人の分までなんて絶対変だよ、どれだけ寂しい女なんだって言われそう……と思い直したり。
……でも、それも良いか……なんか康介君ならどんな事も笑顔に変えてくれそう……
……よし、ケーキ買っていこう!……
散々迷った挙句、そう決めた千佳は店員を呼んだ。
が、店員が千佳の所へ来るまでの間、ふと店内から窓の外を眺めていた千佳の目に、駅前を歩いているある人物の姿が映った。
千佳 「……康介……君……?」
そこには学生服姿の康介が、誰かと話しながら歩いている姿があった。
そういえば康介君の制服姿は初めて見た、やっぱり背高いなぁなどと、一瞬そんな事を思った千佳だったが、康介の隣を歩くもうひとりの人物を見た瞬間、驚きを隠せない様子で目を丸くした。
……ぇ……女の子……?
そう、康介の隣で歩いていたのは、康介と同じ学校の生徒と思われる制服姿の女の子だった。
背の高い康介と、容姿の整った綺麗な女の子。
傍から見れば、どう見てもカップルだ。しかも凄くお似合いの。
2人共ずっと笑顔で、なんだか凄く楽しそうに話してる。
千佳 「……。」
まるで千佳が康介に、いつも夜駅まで送ってもらう時みたいに楽しそう。
いや、その時よりも康介の笑顔が明るく見えるような気がする。
本当に、楽しそう……
「あの、お客様……?」
そう呼び掛けてくる店員の声に、千佳はなかなか反応する事ができなかった。
思いがけない光景を目の当たりにしてしまい、心が大きく動揺してしまっていたのだ。
18話
結局ケーキは買わなかった。
だって、とてもそんな気分にはなれなかったから。
先程までとは一転、今は康介の家に行く事を考えるだけでもなんだか憂鬱になる。
でも、もう行かないといけない時間だ。
今日は休んでしまおうかとも少し考えたけど、当日に、しかもこんな直前に休ませてくださいなんて無責任な事は千佳にはできない。
カフェを出た千佳は、重い足どりで富田家に向かった。
そういえば、自分の過去の恋愛事情は康介から何度も聞かれてきたけれど、逆に康介の恋愛事情を千佳から聞く事は今までなかった。
考えてみれば康介は、容姿は整っているし勉強もある程度できる、それに話し上手だ。
そんな男の子が、多感な時期を迎えている子が多い高校という空間の中で異性にモテない訳がない。
だから康介に彼女がいたとしてもなんら不思議ではないのだ。
それなのに、千佳はなぜか康介に彼女がいるなんて事は想像すらしてこなかった。
それは週に数回、当たり前のように康介と2人きりの時間を過ごしていたからなのかもしれない。
……私……自分1人で勝手に思い違いしてたんだ……
……私なんて、康介君にとってはただの家庭教師に過ぎないのに……
康介 「入っていいよぉ!」
いつものように離れの家の呼び出しボタンを押すと、中から康介の声が聞こえた。
その声を聞いた瞬間、千佳の胸は強く締め付けられた。
康介の顔を見るのが怖い。
今日は富田家の門を潜る(くぐる)だけでも躊躇(ちゅうちょ)するくらい気が進まなかったのだから。
しかし、千佳は富田家に来るまでの道のりをずっと考えながら歩いてきたのだ。
……忘れよう……
何か心の奥で少しだけ生まれていた変な気持ち……そんな気持ちは忘れてしまおう……と。
康介が同じ高校生の女の子と歩いていたのを見ただけで、まるで思春期の失恋みたいにショックを受けていた自分が、なんだか可笑しい。
自分が康介と恋人関係にまで発展するなんて、ありえない事なのだから。
いや、千佳自身、康介と付き合いたいなんて事は本気では思っていなかった。
だって5つも年が離れてるんだよ?ありえないよ。相手は高校生、まだ子供なんだし。
ただ、ずっとあの時間が続いて欲しいと思ってた。
康介と2人きりの、あの楽しい時間が。
康介と女の子がいっしょに歩いているのを見た瞬間、なんとなくそれが崩れていくような感じがしたのだ。
そんな事ないのに。
康介に彼女ができたからって、千佳が康介の家庭教師を辞めないといけない理由はない。
少なくとも千佳が大学を卒業するまでは康介の家庭教師は続けられる。
その状況は、康介に彼女がいてもいなくても、変わらない。
あの女の子に、康介との時間を奪われる訳ではないのだ。
だから、平常心でいよう。
本当なら平常心を心掛ける必要もないのだけれど、なぜかあの光景を見てから心は大きく動揺しているから。
だから、康介の前では平常心でいる事を心掛けよう。
今まで通り、自分は康介の家庭教師でいればいいのだ。
千佳は自分自身にそう何度も言い聞かせて、康介の部屋のドアを開いた。
康介 「千佳先生今日は時間ギリギリだね、いつも10分前には来てたのに、何かあった?」
千佳 「う、ううん、別に何もないけど。ちょっとここに来るまえカフェでのんびりしてたから。」
康介 「へぇ、1人で?」
千佳 「……うん。」
康介はいつもと変わらない様子で千佳に話し掛けてくる。
でも今日はあまり康介と話したくない。
勉強をさっさと終わらせて、すぐにでも帰りたい気分。
康介 「女子大生が1人でカフェねぇ。」
千佳 「べ、別にそれくらい普通だよ。1人の時間だって大切だし。」
康介 「1人の時間が大切って言っても、千佳先生って最近ずっと1人なんでしょ?彼氏いないし。」
さりげなく康介が言ったその言葉が、千佳の癇(かん)に障る。
いつもならスルーできそうな事だったけれど、今日はそういう訳にはいかないのだ。
千佳 「そ、そんな事、康介君には関係ないでしょ?」
康介 「何怒ってるんだよ。俺は心配してるんだよ、千佳先生全然彼氏できないみたいだし。」
余計なお世話。
どうして今日に限ってそんな事聞いてくるんだろ。
千佳 「康介君に心配してもらわなくても……私だって、出会いくらい沢山あるし……」
康介 「へぇ、そうなんだ、じゃあいい男見つかったの?」
千佳 「ぇ……う、うん。見つかったよ、最近いい感じなんだ、その人と。」
なぜこんな嘘をついたのか、自分でも分からなかった。
勢いというのか、口から勝手に出てた。
強がりだったのかもしれない。
だってこういう嘘でもつかないと、平常心なんて保てなかったから。
19話
康介 「ふ?ん、大学の男?」
千佳 「え……う、うん、そんなとこかな……。」
康介 「フッ、ホントにいるのかよ、そんな男。」
千佳 「ほ、本当だよ……。」
嘘八百。
あまりその事を追求されると困る。
なにせ千佳は普段から嘘など滅多につかないため、慣れていない。
それに感情が表情に出やすいので、嘘をついてもすぐに見破られてしまうのだ。
康介 「そうかぁ、じゃあこれ用意してもあんまり意味なかったかぁ。」
千佳 「……何を?」
康介 「いやさ、千佳先生今日誕生日だろ?」
千佳 「……ぇ……どうしてそれを……」
康介の口から出た意外な言葉に、千佳は少し驚いたような表情をしていた。
確か、康介には自分の誕生日なんて教えた事はないはず。
康介 「履歴書に書いただろ?家政婦のバアさんが何日か前に俺に教えてくれたんだよ。」
千佳 「……そうだったんだ。」
家政婦の山田という女性とは、千佳はいつも挨拶をするくらいでまともに話をした事など殆どない。
それなのに千佳の誕生日をチェックして康介に教えるなんて、なんだか意外に思えた。
康介 「それでさ、これ、今日買ってきたんだけど。」
康介はそう言って、紙袋から可愛らしくラッピングされた小さな箱を取り出して千佳に手渡した。
千佳 「……これ……」
康介 「誕生日プレゼントだよ。別に大した物じゃないけどさ。」
この突然のサプライズに、千佳はしばらく言葉を失っていた。
……うそ……
どういう顔をしたら良いのか分からない。
さっきまで胸が潰れそうなくらい苦しかったのに。
千佳はただ、自分が手に持っている小さな箱をじっと見つめていた。
まさか今日、誕生日プレゼントを康介から渡されるなんて考えもしてなかった。
康介 「俺千佳先生の趣味とか分からなかったらさ、クラスの女子に買い物付き合ってもらって選んだんだ。まぁ気に入ってもらえるか分からないけど。」
千佳 「……ぇ……」
……クラスの女の子と……私のために……?
……じゃあ、駅前で康介君と歩いてた女の子って……
康介 「箱開けてみてよ、色とか趣味に合わなかったら変えてくるからさ。」
千佳が丁寧に包装紙を外し、箱を開けると、中にはブラウンの革のベルトを付けた腕時計が入っていた。
シンプルだけど、オシャレなデザイン。
キラキラと光を反射するその時計は、今までの人生で貰ったどの誕生日プレゼントよりも輝いて見えた。
千佳 「素敵……でもいいのかな……こんな高そうなもの……」
康介 「いいんだよ、別に。ほら、ちょっと腕に付けてみてよ。」
千佳 「うん。」
康介に言われた通り、時計を腕に付けてみる千佳。
サイズはピッタリだし、ベルトの色も千佳の白い肌に凄く合っていた。
康介 「似合うじゃん。」
千佳 「……ありがとう……。」
輝く腕時計を見つめながらそうお礼を言った瞬間、ありがとうの一言だけでは言い表せない感情が、千佳の胸の奥から込み上げてくる。
胸につっかえていた不安が消えた事で、一気に溢れてきたその感情を、千佳は康介の前で隠す事ができなかった。
千佳 「ぅ……ぅ……」
康介 「まぁ彼氏ができそうならこんなのいらない……え……ちょ、千佳先生なんで泣いてんだよ。どうしたの?」
千佳 「ぅ……ごめん……何でもない……ありがとう……康介君からこんな事してもらえるなんて思ってなかったから……」
カフェであんな光景を見ていなかったらこんなに泣かなかったかもしれない。
きっと、え?!ホントに!?ありがとう!康介君って意外と気が利くんだね!くらいで終わってたと思う。
でも、今は苦しみからの反動が大きいのか、涙はなかなか止まらなかった。
康介 「そ、そっか。ビックリしたなぁもう、まさか泣くとは思わなかったわ。俺何か悪い事しちゃったのかと思ったよ。」
千佳 「ううん、ごめん。嬉しいよ……凄い嬉しい。」
康介 「……今日の先生なんか変だな。でもまぁ、気に入ってもらえたなら良かったよ。」
優しい口調でそう言った康介は、少し笑いながら穏やかな表情をしていた。
そしてティッシュを3枚ほど取って千佳に渡すと、それからしばらく千佳が泣き止むのをじっと待っていてくれた。
20話
千佳の誕生日だったのその日、康介からの思いがけないサプライズがあったものの、普段通りの勉強はしっかりとやった2人。
康介は誕生日くらい勉強は止めようよと言っていただが、千佳は涙を拭いた後気持ちを切り替えたのか、ダーメッ勉強は勉強だよっ!と康介を勉強机に座らせた。
そして勉強が終わった後は、家政婦が用意しておいてくれたというケーキを食べながら2人でしばらく談笑していた。
千佳 「康介君今日はありがとう、プレゼント嬉しかった、それに美味しいケーキまで。」
康介 「どういたしまして。まぁ誕生日に俺の家庭教師をしないとけいないなんてちょっと千佳先生に悪いなって思ってたしね。あ、そうだ、実はもう1つプレゼントがあるんだよ。これ……」
千佳 「え?まだあるの?そんなに悪いよ……」
康介 「いいからいいから、受け取ってよ。」
そう言って康介が袋を千佳に渡す。
どこのブランドかは分からないが、これも何だか高級そうな物のような感じがする。
康介 「それは家に帰ってから開けてみてよ、きっと千佳先生に気に入ってもらえると思って俺が選んだんだ。」
千佳 「あ、ありがとう……でもなんか誕生日とはいえこんなに貰っちゃっていいのかな……」
康介 「いいのいいの。」
康介はそう言うけれど、やはりこれだけ多くのプレゼントを年下の高校生に貰うというのは千佳としては少しばかり気が引ける。
しかし、その一方で自分のために康介がこんなにも色々な物を用意していてくれたという事は、素直に嬉しかった。
康介 「へへ……たぶん千佳先生、それすげぇ似合うと思うよ。」
千佳 「へぇ、じゃあ洋服かな?どんなのだろう、楽しみだなぁ。」
2人きりの部屋の中で、和やかな時間が進む。
もう窓の外は暗いし、いつもならとっくに帰る時間だ。
でももう少し、こうしていたい。
千佳 「康介君の誕生日っていつなの?お返ししないとね。」
康介 「俺の?あ?、そういえば俺も来週誕生日だったな。」
千佳 「そうだったんだぁ、近いんだね、じゃあ……どうしようかな、誕生日プレゼント何がいいかな?」
笑顔で康介にそう聞く千佳。
誕生日が近いという、ただそれだけの事なのに何だか嬉しくなってしまう。
康介 「え、別にいいよ俺のは。そんな事よりさ、さっき言ってた良い感じの男とは、もうすぐ付き合えそうなの?」
千佳 「え?えーっとね……分かんない……まだ知り合ったばっかりだし……」
康介 「なんだよそれ、じゃあまだいい感じとかじゃないじゃん。」
2人の会話がそんな内容に流れた時、千佳は今までずっと聞きたいと思っていた事を、さりげなく康介に聞いてみる事にした。
千佳 「ねぇ康介君、私の事なんかより康介君はどうなの?彼女とかいるの?」
さりげなくだけど、千佳にとっては少し勇気のいる質問だった。
自分から聞いてみたものの、康介の答えを聞くのがなんだか少し怖い。
康介 「彼女?彼女ねぇ……気になる?」
千佳 「べ、別に……だっていつも私が答えてばっかりだから。偶には康介君の事も教えてよ。」
康介 「……いないよ。」
千佳 「そ、そうなんだ……。」
康介のその答えを聞いて少し、いや、凄くホっとしている自分がいた。
……じゃあ駅前で康介君といっしょに歩いてた女の子はやっぱり彼女じゃなかったんだ……
締め付けられていた心がスーッと楽になる。
よかった。
もし彼女がいるなんて言われてたら、どう反応したらいいのか分からなかったから。
しかし、次に康介が発した一言で、千佳は再び複雑な気持ちになる。
康介 「まぁでも、彼女はいなくてもセフレは沢山いるけどね。」
千佳 「……え?せふ……?」
一瞬、康介の言っている事の意味が理解できなかった千佳。
康介 「セフレだよセフレ、セックスフレンド。」
千佳 「……せ、セックスフレンドって……」
?セックスフレンド?
その卑猥な響きがする言葉の意味は、千佳も知識としては知っている。
康介 「千佳先生はいないの?セフレ。まぁいる訳無いか、千佳先生みたいな真面目な人に。」
千佳 「な、何言ってるの康介君、高校生がそんな事してちゃ……」
康介 「いやさ、女の子から評判良いんだよね、俺のセックス。」
千佳 「そ、そういう事じゃなくて……」
顔を真っ赤にしている千佳の頭の中は混乱していた。
康介の言っている話の内容があまりに千佳の常識からはかけ離れ過ぎていて、頭の中で処理ができないのだ。
康介 「千佳先生も俺と試しにやってみる?」
千佳 「……やって…みるって……?」
康介 「セックスだよ。そういえばこの前胸揉んだ時さ、千佳先生結構敏感だったよね。もし俺とやったら感じまくっちゃうんじゃないの?」
千佳 「ぇ……ばっ…バカッ!!!」
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