『ピンポーン』と、都内の某マンション8階に来客をつげるチャイムがひびく。
「マキー、きたよー」七井サヤカは言いながら、もう一度チャイムを押した。
(マキに会うのは、ホント……、久しぶり)
サヤカは自分がかつて所属していた
世界、グループ、そして苦労、喜びをわかちあった仲間達の事を思い出していた。
『@メーリング娘。』
たぶん今、日本で一番人気のあると言ってもいいアイドルグループだろう。
(私がやめて、もうどのくらい経つのかな?)
少し、もの思いにふけっていると『ガチャッ』音をたてて扉が開いた。
「サヤカ、ひさしぶりー!」
懐かしい声とともに、大きく扉が開かれた。
「マキ……」
茶色のやわらかそうな髪、特徴のある美しい目、なつかしい仲間、古藤マキ。
「遠慮しないで、入って、入って」
マキはそう言いながら、既に部屋へむかっている。
「それでは、おじゃましまーす」扉を閉め、靴を脱いでマキの後につづく。
『マキ、女らしくなってる……』
後ろ姿をよく見ると、マキがどんどん大人になっているということがわかる。
茶色のミニスカートからのびた足、形のいいヒップ。
ピンクのノースリーブのニットからのびる白い腕。
「サヤカ、髪のばしたんだね」ソファーのある大きな部屋に入り、それに座りながらマキが言う。
「そだよー、似合う?」今、私の黒い髪は胸の辺りまでのびている。
私はマキのすぐ隣にすわりながら、答えた。
それから、とりとめのない話が20分ほど続いた。
「へぇー、@娘一週間休みなんだ」
マキがいれてくれた紅茶を飲みながら言う。
「そう、だからどうしてもサヤカに会いたくて」そう言いながらマキは、私の目を覗き込みながら言葉を続けた。
「サヤカ……、セックスした事……、ある?」
彼女の目が欲情にぬれていた。
「マ、マキ、突然何を……、ちょっ」マキの唇が私の唇をふさいでいた。
柔らかく、温かい。嫌悪感は一切なかった。いや、気持ち良かった。
(私、私、ヘンだ……、マキとキスしてるのに、すごく欲情してる、感じてる……)
キスの快楽に耐えられなかった、唇をマキに押し付けながら、舌でマキの唇をなぞる。
「あっ」
マキがはっきりと快感をにじませた声をあげ、唇を開いた。
私はその少し開いたすきまに舌を差し入れる。
「ひゃん、あっ」マキが私の舌を吸い上げる。
(すごい、イイよぅ、スゴイ……)
互いに夢中で舌をからめていた。
マキの舌が、私の舌をゆっくりとなめながら、クネクネと動く。
「あうっ、あっ」抑えても声がでてしまう。
「ねぇ、サヤカ、胸もペロペロして欲しい?」
マキがいつの間にか、私の白いシャツのボタンを外し淡いブルーのブラの上から、手でゆっくりと胸を触りはじめた。
ブラを着けていても乳首がたっていくのがわかる。しかし、マキはブラを外さずに上からしか触らない。
「うふふ」
マキが私の耳をなめながら、乳首をつまむ。
マキがブラの上から乳首をつまんだ瞬間、
「マ、マキ、なめて、なめて、サヤカのおっぱいなめて、あっ、ダメ、イクッ、変だよ、イクッ、イクッ」
サヤカは乳首を強くつままれただけで、全身をふるわせて達していた。
そして、そのまま失神してしまった。
「サヤカ……、ごめんなさい」
マキがそうつぶやきながら、サヤカに優しくキスをしている。
その時「薬が多すぎたんじゃないの?ヘンタイ雌犬、マキ?」
誰かが現れた。
「夜来たる」
広い部屋の中で二人の少女が絡み合っている。
いや、よく見ると違う。
高校生くらいの裸の女の子が仰向けで寝ており、そのすぐ近くに服をきた少女が立ち、
寝ている女の子の股間辺りをふんでいるように見えた。
(そんな、バカみたい、わたし夢見てるのね……)
サヤカは、ぼんやりと考える。
(私、眠ってた?どこで?えっ!)
突然、意識が戻ってきた。
「アッ、あっ、マキ、またイキます、アソコを踏まれてイキます、イクッ」
少女がなかば、笑いながら言う。
「あれ?また、イクの?あたしの足で?アソコを踏まれてイッちゃうの?ヘンタイ、マキ先輩!」
サヤカはあまりの状況に声も出ない。
「は、はい、マキ、イキます。アソコを踏まれて、ま、またイキます、ヘンタイです、、、イクッ」
マキの豊かな胸が、きれいな体がぶるぶるとエクスタシーのあまり震えている。
「マ、マキ……」
サヤカは呆然として、思わず名を呼んだ。
私のつぶやきに少女が振り返り、近づいてきた。
「よかった、サヤカ先輩が起きて。あの雌犬がまちがえて紅茶に薬入れ過ぎたみたいで。
サヤカ先輩が起きるまで、一時間くらいずっと踏んでたんですよー。だから、足がベチャベチャ」
少女の顔がはっきりと見えた。
「あ、あなた、カゴ舞ちゃん!」
少女は、いや、カゴは幼い声で答える。
「そう!サヤカ先輩、ひさしぶりですぅ。えへへ、先輩もあたしの奴隷にしてあげるからね……」
広い部屋、壁に沿って配置された、薄いベージュ色のソファー。
サヤカは呆然とそれに座ったまま、となりに座った制服姿の少女に問いかける。
「紅茶に、クスリ?それに……、ど、奴隷って……」
サヤカの問いのどこがおかしかったのか、カゴは、少し笑い、嬉しそうに目を細めしゃべりだした。
「わかりませんでしたかー?、媚薬ですぅー。サヤカ先輩、すっごく気持ち良さそうでしたよー。
うふふ、でも、もっともっとしてあげます」
カゴは、サヤカの耳を唇ではさみ、舌でその辺縁を舐めながら、言葉を続ける。
「あたしがね、マキに命令して先輩を呼んだの。だって、サヤカ先輩すごくキレイだから……」
幼い声、だが、その舌の動きは信じられないほど、巧みでサヤカは嫌がっていても、快感を感じていた。
思わず、漏れそうな声を必死で押し殺し言葉を返す。
「ど、どうして……?、はっ、あっ」
その間にも、カゴの手がブラの上から優しく、刺激を加えてくる。
その手がブラの上から乳首をつまみ、舌は耳から白いうなじ、喉の辺りを巧みになめている。
「ふっ、あうっ、や、やめ、あっ」
快感で、まともに言葉も出ないサヤカを嬉しそうにみつめながら、カゴは言った。
「ゲームよ……」
ささやくような声……。
「あっ、ゲ、ゲーム?」
サヤカも甘い声を押し殺し、なかば無意識で問い返した。
カゴはサヤカのブラを上に押し上げながら言う。
「そう、ゲーム。先輩達は勝者に捧げる供物よ」
部屋とソファーと私
サヤカの胸が、ブラを押し上げられ、あらわになる。
抑えがたい快楽によって固くとがった乳首。
「サヤカ先輩……、キレイ。
こんなに赤くとがらせて……、うふふ、イヤラシイ」
カゴの柔らかい唇が、サヤカの乳首をそっと含む。
「あっ、カゴちゃん……、や、やめて、お願い」
カゴは、そんな言葉を無視して舌を使い、
優しく歯で乳首をかむ。
(し、信じられないすごく、すごく気持ちいい)
サヤカは、抑え切れず甘い声をあげる
媚薬で敏感になっているせいもあり、
サヤカは必死で耐えようと思っても、
淫らな声を出してしまう。
「やっ……、あっ、あ……、あっ」
カゴは執拗に、舌と唇で胸を甘く刺激しつつ右手で、
サヤカの赤色のロングスカートを白い太ももまで、
めくり上げ、サヤカのブルーのショーツをあらわにした。
ショーツの中央部は既にグショグショに濡れて、
サヤカの性器の形を示していた。
少女は、胸から唇を離し、
嬉しそうに秘部を確認した。
「サヤカ先輩ったら……、オマ×コ、すっごく濡れてますよー。
グショグショ、ふふふ、かわいい……」
カゴは言いながら、布ごしに秘部を指でなぞる。
年下の、しかも同性になぶられているにも関わらず、
サヤカはどうしようもなく、感じていた。
(私、どうなっちゃうの?嫌なのに、イイよぅ、私もマキみたいになっちゃうの?あっ、またイッちゃうよ。そんなにされたら)
サヤカは必死で、、秘部を触るカゴの指を握った。
カゴは、自分の指を握るその手を、
信じられないように見つめていたが、
軽く振りほどき、しゃべりだした。
「サヤカ先輩……、すっごーい。すっごい精神力。
うふ、早く身も心も奴隷にしたい」
うっとりと、話続ける。
「ねぇ先輩?、イキそうだったでしょう?
あたしも、イカせてあげるつもりでしたから……
でも、やめまーす。簡単にはイカせない。
もっと、もっと、イジメテあげる。
先輩がイカせて下さいってお願いするまで」
絶頂寸前で刺激を中断され、
サヤカの秘部はヒクヒクとうごめく。
無意識にイク事を拒否し、カゴの手を握った、
長く美しい指で、サヤカは自分の秘部を触ろうとした。
しかし、その手はカゴの手によって阻まれた。
「あー、サヤカ先輩ったらー、
カゴの手じゃなくて自分でマンズリしてイクつもりー?
ダメでちゅよ、マンズリなんかしたらー、あはは」
少女は嬉しそうに笑いながら
失神しているマキに声をかける。
「マキ!、起きて」
カゴの声に反応し、
全裸でカーペットに倒れていたマキが身を起こす。
むりやり、何度も繰り返しイカされた為か、
マキはふらふらとしながら、ようやく立ち上がった。
幼い少女に腕を捕まれたまま、
私はマキに話しかけようとしたが、
言葉がみつからず黙りこんでしまう。
そんな私を見てカゴは、笑いながら話しだす。
「あは、サヤカ先輩も、すぐにマキ先輩みたいなヘンタイにしてあげます。ふふ、オマ×コ踏まれてイク、雌犬に」
マキは、ようやく私達の近くにたどり着くと、ゆっくりと膝を曲げ、手をカーペットの上についた。その顔はサヤカからそむけられて、はずかしそうにうつむいている。
「あはっ、見て見てー!サヤカ先輩っ!調教したの。雌犬にピッタリのポーズでしょ?うふふ……」カゴは言いながらマキの顔に足をのばす。
「ほら!なめて、マキ先輩が六回もイッたから、マン汁でベトベトー、ホント雌犬以下ですよ、マキ先輩って……、あはははっー」
マキは、命令通りに、ゆっくりとピンク色の舌をのばし、足の指を唇でくわえた。『ぐぷっ……、ぴちゃ……』マキが口を動かすたびに、淫らな音がひびく。
「マ、マキ……」
あまりの行為に思わずつぶやく。
「ふふっ、大丈夫ですよー、サヤカ先輩。喜んでるんですー、この雌犬ったら……」カゴはゆっくりと、サヤカの乳首をなめながら、言葉を続ける。
「マキ、仰向けになって、サヤカ先輩に、ヘンタイのオマ×コ見せてあげて」
その言葉に、マキは赤くなり動かない。
「あれ、いいんですかー、マキ先輩?命令通りしないと、ごほうび……ナシですよ?」カゴの言葉に、マキはサヤカの目をみつめながら、はずかしそうに、体を仰向けにする。しかし、その膝は閉じられ秘部を隠していた。その時、カゴの小さな指が、サヤカの濡れた秘部に貼付いている、布の中に侵入し、赤く充血しているクリトリスを触る。
突然の快感に、思わず声がもれる。
「うあ……あっ……」
絶頂寸前で止められていたサヤカの秘部は、強烈な快感にうごめく。抑え切れず、あえぎ声をあげるサヤカ。
それを、嬉しそうにみつめつつ、カゴはしゃべる。
「マキ、開けて!オマ×コ見せなさい!。さあ、サヤカ先輩もあえいでないで、ちゃんと見て……、ほら!」
カゴの命令通り、ゆっくりと足を開くマキ。
その秘部は、陰毛が全くなかった……。
そして、ピンク色のそこは、ヒクヒクと動きつつ濃い愛液があふれ出していた……。
「きゃはははー。ねえ、スゴイでしょう?雌犬のオマ×コ!見られているのに、こんなにぐちゃぐちゃ。ホント、ヘンタイー」カゴはいいながらサヤカのクリトリスを激しく触る。
「あーサヤカ先輩のオマ×コもぐちゃぐちゃー。ふふっ、マキ先輩ー、サヤカ先輩の服、ぬがすわよ、手伝って!」
マキはよろよろとサヤカの服をぬがす手伝いをする。
抵抗するが力が入らず、その手によりカーペットに裸のまま、仰向けに抑えつけられた。
「やっ、何するの……、やめ、あうっ」
サヤカが抵抗すると、カゴはその秘部を足で優しく踏み始めた。
マキも欲情を抑えられないのか、サヤカに唇を重ね、舌を吸い出し、絡める。秘部を足に踏まれている……。はずかしくてたまらないのに、サヤカは激しい快感を感じていた。
(あっ、私もうダメ……、イクッ、イッちゃう……)
しかし、そんなサヤカの思いを見越してか、カゴは足の動きを止める。
「先輩……、カゴの足でイキたいの?」
「あ、足でイクのは、や、イヤ……」サヤカは体をガクガクと震わせて、自分の下唇を強くかみ、イク事を耐える。
「ふふっ、サヤカ先輩ったらー、イキたいクセに……、かわいいー」
カゴは言いながら、サヤカの愛液にまみれた足指で、アナル周辺をゆっくりとなぞる。
その動きに合わせマキが秘部を舌と唇で、ねっとりとなめる。
「くぅ、ん、あぅー」じらされ続けた上に、アナルという未知の快感を味わされ、サヤカは、堕ちた
「お、お願い……、イ、イカせて下さい……」
消えそうな声で、サヤカは言う。
その体は、強い快感を求め、腰を揺すりマキの口に秘部を押し付けていた……。
(あぁ……、イキたい……、私、我慢できない……、イキたい……)
マキは、秘部から唇を外し、サヤカを優しく見つめ、唇にキスをする。
「サヤカ、きれい……。私……、あなたを引き込んだ事を、ずっと後悔してた。だけど……、嬉しい……」
サヤカに語りかける、マキ。そして、再び、キス……
唇を重ね、夢中で舌を絡め合うサヤカとマキ。
二人の秘部は、だらだらと蜜を流し続ける。そんな二人を見つめながら、カゴはソファーに腰を下す。
足に白いクリームを塗りながら……
そして言う「サヤカ先輩、マキ先輩。イカせてあげる……、さあ、仰向けになって、足を開いて……」
二人はキスをしながら、ゆっくりと足を開け、制服姿の少女に、赤く濡れた秘部をさらす。
「二人とも……、キレイ……、オマ×コ、ヒクヒクしてる……」
両足をそれぞれの秘部に優しく押し当てながら、
カゴは自分のスカートをめくり、白い下着の中に手の指を差し入れ、オナニーを始める。
「あふっ、カゴのオマ×コも、ぐちゃぐちゃ……、あうっ、一緒にイこう。あっ、カゴも気持ちイイよぅ……、イキそう……」
「マキ……、もうイクッ、オマ×コ我慢できない……、イッちゃう……」
「カゴちゃん……、マキ……、私も、私も、イクッ、こんなにイイなんて……、あうっ、イクッ、あ、足で……イッ……」
カゴの足の指は、クリトリスをはさみ、クネクネとしごきつつ、性器を足全体で揺すりたてる。
強烈な快感がサヤカの精神を黒い快楽で染めてゆく。
『ぐちゅ……くちゅっ……』
部屋にひびく、三人の淫らな声、音。
いつしか、三人は何度もエクシタシーに溺れ続けながら、体を絡め合い、互いの秘部を、指、舌、唇で慰めあう。
広い部屋に、淫らな音、あえぎ声が流れ続ける。
まだ、娘。達の時間は始まったばかりだった……。
薄暗く、大きなベッド、広い部屋。シーツのこすれる淫らな音。
いつもと同じ、甘い時を過ごした後で、となりでタバコを吸いながら天井を見つめる男を見ながら、中澤ヨウコは思う。
(この人は、私の世界を変えてくれた……。私は、この人のいったい何を変える事ができるのだろう……)
(そして、私達はどこまでいけるのだろう……)
(考えても仕方のない事だ……、私の世界と、この人の世界は速度が違う……。孤独な人……)
(いとしい人……)
快楽の果ての様々な思いを振り払いながら、中澤は話かける。
「ねえ……最近、娘。達、何かおかしいと思いませんか?」
こちらを見つめ返す男。その目は、さっきまでの優しいそれとは異なり、真剣な目をしている。
(この人の人生を賭けた、娘。達、守りたい……)
男が話す。
「何か?そうか……?でも、リーダーのおまえが言うなら、そうなのかもな……」
タバコを消す男。部屋に紫煙が漂い、香りを残す。中澤は、考えをまとめる。
「はっきりとは、わからないです。ただの思い過ごしなのかも?でも、何か……」
新たにタバコに火をつける男。
「そうか……、一週間も休みあげたのは、失敗かもしれんな……」
ぽつり、とつぶやく男。
「私、休みの間、連絡とってみます」
明日からの休み……。一週間のそれは、偶然が重なったとはいえ、やはり奇跡に近い時間だった。
「いや、プロに……掃除屋に頼むよ。中澤も、たまには休め……」
男は言いながら、携帯を取り出す。
(広いベッド。二人の閉じられた部屋、箱……、いつまで続くの……?私達……、ずっと一緒にいられるの……?)
となりで電話を終えた男を思いながら、中澤は眠りに落ちる。
「あのな掃除屋な、あさってから始めるそうや。明日はどしても無理やって、ええかな?って、あれ、寝たんかい?中澤?」
男は、眠りについた女に、毛布を掛けキスをする。
(明日からN.Y入りや……。中澤、頼むわ……)
お互いの思いを閉じ、箱の中の時は流れる……。
『ジリリリ……』淡いグリーンを基調とした部屋。
一人用のベッド。大音量でわめく目覚まし時計を、
必死でとめながら、安部なつきは、目をさました……。
「げっ、今日から休みなのに……、目覚まし……、消し忘れた……、最悪」
朝の7時30分、二度寝をする気にもなれず、
ベッドに腰掛け、メールを確認する。
「わ、サヤカから、メールがきてる……」
それは昨日の夕方届いており、
もうすぐマキのマンションに着く、といった内容だった……。
(サヤカ、元気かな?)
安部は、思いながら鍋に
牛乳、砂糖を加え火にかけ、紅茶の葉を入れる。
トースターにクロワッサンを入れ、スイッチを押す。
部屋に良い香が漂い、一日の始まりを安部に告げる……。
「ふうっ……」朝食後、洗顔等をすませた安部は、キッチンのイスに座る。
途中まで読んだファッション雑誌を開きゆっくりと読む。
(10時になったら、サヤカに電話してみよう……)
そんな事を思う。9時30分、電話がなった。
イスに座ったまま軽く、うたたねをしていた安部は、
驚いて携帯を手に取る。
「もしもし、安部……」まだ話始めたばかりなのに、
電話の相手は大きな声で話を始める。
「あ、ナッチ?あたし、あたし、まりっぺだよー。
寝てたー?ねえ、今日さー、」
電話をかけてきたのは、矢土マリだった。
テンションが高い……。
一時間程、話をしただろうか……。
内容は、マリの家に遊びに来て、という事だった。
他のメンバーも集まるようだ。
安部は、マスカラをつけた後、薄いピンクの口紅、ファンデーションを塗る。
最後にオレンジのチークをつける。
軽く光沢のあるグリーンのワンピース、オフホワイトの薄いコート、
髪をとかし、ゴールドのピアスを付け、茶色のロングブーツを履く。
準備をすませ、愛車の青いプジョーに乗ったのは、11時30分頃だった。
サヤカの携帯にかけるが、電源が切れているのか繋がらない。
(まぁ、夜でいいか、サヤカも忙しいだろうし……)
薄いブルーのサングラスを着けて、
20分程、プジョーを走らせる……。
あと少しで、マリのマンション。
信号待ちの間に、到着する事をメールで送る。
送信した後で、カーラジオのスイッチを入れる。
車内にゆっくりと、流れだすメロディー。
ビートルズ、『レット・イット・ビー』
ラジオに合わせて歌いながら、車を走らせて行く。
曲が終わり、数分後、
マリのマンションに着くと、
マリが駐車場を指さしながら、立っていた。
指示通りの場所に車をとめ、玄関までかけよる。
「ナッチー、待ってたよー。ほら、はやくー!」挨拶する間もなく、せかすマリ。
部屋のある七階に着き、せかされるままに部屋に入る。
そのまま、キッチンへ……。ホワイトソースの良い香りが漂っている……。
「ナッチ、ほら、コート脱いで!座って、早く!」
イスに座った安部の目の前に、ソースのかかったゆでたてのパスタが置かれる。
「パスタは時間が命なんだからね!」
魚介類を中心とした白いソース。上には、赤い粉が振りかけてある。
「まりっぺー、これを作ったのー?すごーい」驚く安部。
「なっちー、いいから、食べてみてよ。その粉が大切なのよー」はしゃぐマリ。
指示通りに、ソースに赤い粉を混ぜて食べる。
魚介の甘さを、粉のわずかな苦さがひきたてる。
パスタのゆでぐあいも完璧だった。なごやかな時間……。
しかし、ほとんど食べきった頃……
安部は体の異常を感じていた。
熱い……体の中心から沸き起こる怪しい感覚……。
「ま、まりっぺ、他のメンバーは?そ、そういえば……、あなたは食べないの……?」
『カタンッ』フォークを落とす安部。
マリは何も言わず、ただ、安部を見つめている。そして、一言……
「供物よ……」いまや体は、淫らにうごめき、安部は声もまともには出ない。
「あっ、ま、まりっぺ……、な、何……?」部屋に誰かが入って来た気配。
一人ではなく、複数の気配だった……。
「だ、誰……?」ドアの方向を振り向く安部。
そこには、全裸で手を上に縛られた、
古藤まきが……。いや、違う……、顔だちは同じだが、
体つきが全く、異なっている……。
そして、なにより裸の股間にある、赤黒いペニス。
それは、後ろから誰かの白い手に、
ゆっくりと前後に刺激され、
はりさけそうに大きくなっている。
「マキ先輩の弟です、似てるでしょう?安部先輩……」
甘えるような声。
白い手を止めずに話す後輩、辻希香……。
「辻?何回飲んだのー?
幸せそうな顔してー。
口のまわりザーメンついてるよー、あははっ」
淫らな事を平気で話すマリ。
「二回しか、出させてませんー。
のの、いい子だから、ちゃんと安部先輩の分残してるもん!」
信じられない会話……、状況。しかし、
料理のせいだろうか……。
安部は、異常な世界に強烈に興奮していた。
秘部が濡れているのが、はっきりと自覚できる……。
「ナッチ、ち×ぽ欲しいでしょう?」マリが言う。
容赦のないマリの言葉。
「そ、そんな事……な……い……」
かろうじて拒絶する安部。
「えっ?安部先輩、いらないの?なら、ののが食べちゃおっと」
ためらわず、ペニスに頬をよせ、
先端に舌を絡める辻。
「つ、辻様……、ああっ、もう我慢できません。
また、精子出します……、あっ、うあっ……」
辻は、小さな口いっぱいにペニスを含み、
前後に激しく動かしながら、
片手で優しく袋をもみ、
残った手は自分の秘部をこすりあげている。
「辻ー、やめなさい。ナッチがかわいそうでしょー」
笑いながら真里は言い、
安部の隣に立ち、耳元に口をよせる。
「ナッチ……、欲しいんでしょう?
素直になって……、逃げられないのよ、
もう……ずっと……」ささやきながら、
真里は安部の背中のファスナーを下し、
下着だけの姿にする。薄いイエローの布。
上下のそれは、いかにも頼りなくまた、
安部の白い肌を強調するかのようにまとわりついている。
『ペロッ』首すじを舐める真里
真里は、力の入らない安部を立ち上がらせ、
首をなめながら言葉を続ける。
「ナッチ……、逃げられないのよ。
受け入れなさい、それしかないの……。快楽に溺れて……」
言いながら、その右手は、
形の良いヒップを大きくこねるように動かし、
左手は安部の唇をなぞる。
甘い快感……。いつの間にか、
辻も安部の右手を口に含み、
舌で指の一本一本をなめる。
「やっ、あっ……」全身が熱く、快楽にしびれる。
真里にされるがまま膝を曲げる
膝をまげた安部、その頬に触れる熱いペニス……。
それは、辻の唾液に濡れて、
安部を誘うようにあやしく赤黒く光る……「ナッチ……、お口でイカせてあげて……」
『くちゅ……』安部の濡れた秘部を布の上から触る真里。
「あっ、うあっ」
あえぎ、開いた口にペニスがゆっくりと、
差し込まれる。それと同時に安部の秘部へ、
優しく人差し指を入れる真里。
蜜のあふれる秘部は、
指を飲み込み淫らな音をたてる『ぐちゅ……くちゅ……』
「ナッチ、どう?ユウキのチ×ポ、おいしい?」
更に激しく、巧みに指を動かしながら真里は言う。
「うぐー、ぐっ、むぐっ」
ペニスに口をふさがれたあえぎ声がひびく。
「安部先輩、おいしそうにしゃぶってー、
いいな。ののも、ペロペロしちゃおー」
辻は言いながら、ユウキの後ろに座り、
男のアヌスを舌をクネクネと使いなめ始める。
「うあっ、気持ちいいです。
あっ、チ×ポ気持ちイイです。
あっ……、出る、精子、出るっ」
「ほらっ、ナッチもイキなさい。
ほら、ほらっ」差し入れた指と同時に、
興奮し充血したクリトリスを強くこすり上げる真里。
「うぅー、うぐっ、あぐっ……」
安部は異常な状況に興奮し、
更なる強烈な快感にエクスタシーを味わう。
その時、無意識に唇に力が入る。
「あぁ、イッ、出る」ユウキのペニスは、
安部の口の中で一瞬、更に硬さをまし、
すぐにはじけ、白濁した液を大量に吐き出した。
「ふふ、ナッチ……、かわいい……」
『クプッ』音をたてながら安部の唇から、ペニスが抜かれた。
白濁した液が赤い唇からこぼれはじめ、形の良いあごへ、ゆっくり流れ落ちる。
「あっ、もったいないー」
辻は言いながら、安部に唇を重ね舌を吸い出し、白濁した液を絡め合う。
そんな二人を見つめながら真里は言う。
「ユウキ、気持ち良かったでしょう?お礼にナッチのオマ×コなめてあげなさい……。
辻も手伝ってあげてね、あはっ、ナッチ何回イクかな……、ふふ」
胸の前で、ユウキの腕を縛るロープを、真里はほどいて投げ捨てた。
「もう、ユウキったら出したばっかりなのに、またチ×ポおっきくして……」
言いながら右手でペニスをこする真里。
「ナッチのオマ×コ、上手にペロペロ出来たら、私がしてあげるね……」
言いながら、淫らに舌を見せる真里。床の上では、安部と辻が夢中で舌を絡めている。
「ふふっ、トドメよ……」真里はつぶやき、赤い粉を取り出し、安部の秘部へと塗りこむ。
「うぐーーっ」
辻に唇をふざかれたまま、電流のような快感を味わい安部は絶叫する。
ユウキは、そんな様子を、うっとりと見ながら、安部の体を仰向けにし、大きく足を開げさせ、秘部へ口を近づける。
そこは、ビクビクと震え、愛液にまみれ、赤く染まっていた。
「あっ、はっ、あっ、あ……」大きく舌を伸ばし、先端を細かく横に動かし、秘部の入り口をなめる。
動きに合わせて声をあげる安部。辻もキスをやめ、胸を口に含む硬くとがった乳首……。
辻は、左のそれを唇ではさみ、軽く吸い上げながら、ゆっくりと乳首の頂点を舌で刺激する。
右胸は小さな手によって、巧みになぶられる。
秘部はユウキの舌と指により、激しく、丹念に攻められ、ヒクヒクと震えつつ、ねっとりとした大量の愛液を流し続ける。
「あっ……、も、もう、ゆ、許して……、あうっ……ま、また、イク」
安部の消えそうな声……。
「先輩、またイッちゃったー、四回目ですー、あはっ」無邪気な辻の声。
そんな声を聞きながら、安部の意識はゆっくりと暗闇へ落ちていった……。
「ナッチ……、失神しちゃった。ふふっ、幸せそうな顔。オマ×コ……、まだ動いてる」
真里は言いながら、ロープを取り出し、ユウキの手を縛る。
「ユウキ……、チ×ポ、イキたい?先、濡れてるよ」
笑いを含んだ声……。
「辻……、イカせてあげる」淫らな言葉「真里先輩……、濡れてるよ、かわいい」絡み合う影。
時が……流れる……
広い部屋……。ベージュ色の大きなソファー。
カーペットに体を寄せ合い眠る、
三人の裸の少女達……。
部屋にある、MDプレーヤーから
音楽が流れている。
その音に導かれ、七井サヤカは、
ゆっくりと目を覚した。
(加護ちゃん……、マキ……)
サヤカの隣で、穏やかな寝息をたてている二人の少女……。
(逃げる……?でも……)
迷うサヤカ……。
流れているのは、どうやらラジオらしい……。
(目覚まし変わりか……、
マキ、変わってないね……)
聞き覚えのあるメロディー。
ビートルズ、『レット・イット・ビー』曲を聞きながら、
服を着る。
曲が終わり、数分後、
なにげなく窓から下を眺める。
(けっこう高い……。そっか、八階だもの……)
その時、駐車場に入って行く、
鮮やかなブルーの車が見えた……
「サヤカ先輩……」
後ろから突然呼ばれ、
驚き振り向く。悲しそうな顔の加護……。
「まだ、間に合う……、逃げて……」
小さな声。『ピンポーン』その時、
部屋に響く音。
(マキ……、やっぱり携帯が繋がらない……)
中澤ヨウコは黒のアルファロメオを操りながら、
携帯を助手席へと投げる。
三時間程前に、N.Yに旅立つ男を見送った後、
あてもなく車を走らせていた。
一週間の休みの初日。
しかし、娘。達の事が気になって仕方が無かった。
特に、古藤マキ……。
最後に見た時、どこかおかしかった。
ドライブスルーで朝食を取った後、
一時間程、気ままに運転しながら、考える。
(マキの家に行こう……)
都内の某マンションの『三階』マキの部屋の前に立ち、
中澤はチャイムを押す。
(いない……。外出中かしら……、でもおかしい。
人が住んでいないみたい……)
偶然、隣の家の扉が開き、
身なりのよい老人がでてきた。
軽い気持ちで、マキの事を訪ねる中澤。しかし……
「んっ?。そこの部屋の子?
一週間程前に、突然、引っ越したみたいじゃが……、
外人さんが、手伝っておったよ」
呆然とする中澤……。
その時、携帯が鳴り響いた……。
「あっ、やっ、のの……イクッ、ひゃうぅ……」
淫らな声……。
安部はまどろみから、目を覚す。
いつの間にか、ベッドの上で、
ロープに腕を縛られており、
クリトリスにテープでピンクローターが固定されている。
『ブブブブ……』容赦なく攻めるローター。
安部は唇をかみ、声を押し殺す。しかし……
「あっ、ナッチ……、
起きたのね……、濡れてるよ……」
耳をなめながら、ささやく真里。
手でローターを押し、
強い刺激を加える。
安部の唇を強引に奪い、
力強く舌を吸う真里。
「うっ、くぅ……、うぅ」
更にローターを強く押し付ける。
(もう駄目ッ……、イクッ)
とうとう耐え切れずに、
達してしまう、安部……。
「ナッチ、またイッちゃったね……」
言いながら、真里は自分の舌を伸ばし、
その上に赤い粉をのせた。
そのまま、安部の顔を押さえ、
ゆっくりと唇を重ねる。
舌を絡め合った後ささやく真里
「ナッチ、ごめんなさい……、
でも……これしかないの……」
反撃の始まり
中澤は、突然鳴り出した携帯を、
レザーのバックから取り出した。
「もしもし、中澤さん?」
聞いた事のない声。
「そうですけど?」
不安を感じながら応対する。
「依頼を受けた、掃除人です。
予定よりも早く前の仕事が片付いたので、電話しました」
低い声。しかし、安心感の持てる声。
男は続ける。
「早速動きます、よければ詳しい話が聞きたいので、××ホテルまで」
駐車場に戻り、車を動かす。
(守る……、絶対に……)
中澤は待ち合わせの場所へ向かい、
アルファロメオを駆る。
カーラジオから流れる曲も、
耳に入らない。漠然とした不安。
リーダーとしての責任感。愛する男の事。
(マキ……、どこへ?)前を見つめ疾走する。
その時、対向車線ですれ違う、
安部なつきの青いプジョー。
しかし……、中澤は気づかなかった。
ラジオから流れるビートルズの声……。
それぞれの時間が、物語が、交わり、離れ、加速する。
連休初日、正午……。晩秋……
渋滞に巻き込まれ、
中澤がホテルに到着したのは約束の時間から、
三十分ほど遅れた、午後一時半だった。
指定された喫茶店へ行く。
店内に入ると、奥の隅に座っていた男が、
軽く手をあげた。向かう中澤。
テーブルの上に、
ノートパソコンを置き、
こちらを眺めている男。
(若い……)二十代半ばに見える。
彫りの深い顔。細い体プロの掃除屋とは、
一見信じられない。中澤が席に着くと、
男が口を開いた。
「レエル=斎藤です」
挨拶をすませ、マキの事を話す中澤。
男は全て聞き終わると話出す。
「昨夜、そちらから、娘。達の携帯番号を教えてもらいました。
それを元に着発信記録を覗きました」
冷静に話続ける男。
「その記録と、先ほどの中澤さんのお話で、
大体の仕組みがわかりました」
立ち上がる男。
「すみませんが、コーヒーを飲む時間は無いようです。
すぐに移動します。
安部さん、七井さんが危険です。
詳しい話は車の中で、急ぎましょう」
広い部屋少女の声
「サヤカ先輩、隠れて下さい。
絶対に出てこないで……」
クローゼットを指さす加護。
「サヤカ、早く」立ち上がりながら、
マキも言う。二人の決意を固めた瞳……。
押されるように、クローゼットに入る。
その扉を閉める時に、マキと視線が交わる。
「サヤカ、会えてよかった……」
本当にかすかな、消えそうな声。
閉まる扉……、訪れる暗闇。サヤカの耳に、
部屋の音が聞こえる。
聞いた事の無い男の声……。
はっきりと聞こえない声……。
加護の泣いている声。
マキの怒りを含んだ声。
男のバカにしたような笑い声……。
何かを殴るような鈍い音。
加護の悲鳴。マキの怒声。
男の笑い声。鈍い音
(二人が暴力を受けている……)
激しい怒りを感じるサヤカ……、
殺意に近い。だが……、
二人の意思を固めた目。
出るな、と言う懇願を思い出す。
自分の無力さに対する激しい怒り。
下唇を強くかむ。歯が唇を裂き、
血がゆっくりと流れる……。
いつのまにか、大きな物音は収まり何かの、
料理の匂いがする。
食器が触れる、カチャカチャとした音。
フォーク等の金属の音。
サヤカは狭いクローゼットの中で、
ピクリとも動かず座り続けた……。
どれほどの時間が流れただろうか……。
サヤカの神経が冷静さを取り戻した頃、
部屋からは人の気配が消えていた。
扉を押し開けて、部屋の中に戻るサヤカ。
間接が痛んだが、何も感じない。
その時、家のドアが開く音が聞こえた。
(もう、隠れない……)
テーブルの上のナイフを拾い、
玄関から部屋へと続く廊下の死角に潜むサヤカ。
冷静に殺意を操り、足音が近づくのを待つ。
(今だ!)ナイフを握り締め鋭く伸ばす腕。
しかし、その手は静かな瞳を持つ男の腕に、
しっかりと捕まれていた。半狂乱になるサヤカ。だが……
「サヤカ……?」懐かしい声。
中澤ヨウコが男の後ろから、姿を見せる。安心感……。
サヤカの目から、涙があふれ、こぼれ落ちた……。
広い部屋の中……。
(泣いている暇は無い)崩れ落ちそうになる体を、
必死で支えるサヤカ。
その時、低く冷静な声が問い掛けてきた。
「古藤さんと安部さんは?」
気持ちを、落ち着かせ答える。
「ナッチはわかりません。マキは、男に……」
(ナッチも関係しているの?)
驚きながら、答えるサヤカ。
「下か……」つぶやき、突然ドアに向かい走る男。
それを追うように、ついて行くサヤカと中澤。
部屋を飛び出し、急いで階段を駆け降りて行く……
(もうすぐ、下の階……)思いながら、
階段を走るサヤカ。
突然、前を走る中澤が立ち止まった。
「レエル、さん……」驚き、つぶやいている中澤……。
サヤカも見た……。
3メートル程の距離をとり、
向かい合う二人の男。
一人は、中澤にレエルと呼ばれた男、
黒いコートのポケットに手をいれ、
無表情で立っている。もう一人は、
体格の良い黒人の男、
リズム良く体を揺らしボクサーのように構えている。
中澤とサヤカを見て、
淫らな笑みを浮かべる……
嫌悪感……。(この男が、マキ達に暴力を?)
湧き上がる怒り、恐怖。
そんなサヤカの思いも知らず、
棒立ちのまま、間合いをつめるレエル。
薄笑いを浮かべつつ、
レエルに向かい口を開きかける黒人。しかし……
『プシュッ』自転車のタイヤから空気の抜ける時のような、
小さな音……。突然バランスを崩し、
前へ倒れこむ黒人。
そのアゴに向かい蛇の様に伸びる、レエルの足。
辺りに漂う、焦げ臭い匂い。
横向きに倒れ、完全に失神している黒人……
安部なつきは、夢を見ていた。
懐かしい、子供時代……。
母に膝枕をされている夢。ゆっくりと目覚める安部……。
誰かに膝枕をされていた。
「ナッチ……、大丈夫……?」
心配そうな、聞き覚えのある声……。
「マキ……?」完全に目を覚ます。
暗く、狭い場所。ガタガタと揺れる
「車の中……?他の娘。達は?」
どこか苦しそうに答えるマキ。
「私達だけ……。ここは、たぶん冷凍車を改造した車……」
確かに……そこは暖かかったが、
元冷凍車の冷凍庫だった。
膝枕から、身を起こしマキを見つめる。
改造して取り付けられたのか、
天井に薄暗い明かりが灯っている。
光に映るピンクのノースリーブから見える白い腕。
しかし、その両肩から二の腕にかけて、
何かで叩いたような痣が……。
「マキ……」言葉が出ない……。
「大丈夫です!」微笑むマキ。
しかし、言葉とは裏腹に、
流れ落ちる涙……。
思わず、優しくマキの頭を胸に抱く安部……。
見つめ合う……影。
どちらともなく、ゆっくりと顔を近づけあう……
時折、カタカタと揺れる車。そのなかで、安部はマキと唇を重ねていた。互いの顔に、サラサラと触れ合う柔らかな髪。マキの腰に腕をまわす。(なんて、細い……)折れそうな程、華奢な体……。甘い吐息……、優しい時間。マキの頬からアゴ、白く細い首へ、ゆっくりと舌を這わせる阿部。
「マキ……、気持ち……イイ?」言いながら、ニットの上から、マキの大きな胸を揉む。
「はっ……あ……、ナッチ……」答えるマキの声……、それは快楽に濡れていた。
床へ、もつれるように倒れる二人。マキのスカートの中へ手を入れる。
「濡れてる……」ささやく安部。そのまま、体をずらしマキの太ももへキスをする。ゆっくりと前進し、秘部へたどり着く唇。優しく唇をあて、舌で溝をなぞる。
「はあ……、ナッチ、あ、恥ずかしい」消えそうな声、しかし、溢れ出るマキの蜜。ゆっくりと舐める。
「ヒウ……ア……」クリトリスを優しく含み、舌でこね回し吸い上げる。安部の秘部からも、熱く蜜が溢れていた……
「ナッチ……、一緒に……あ……イキたい……」快楽にかすれたマキの声。流れる髪……。ワンピースをめくり体を合わせ、ゆっくりと動く……。柔らかく温かい粘膜が擦れて、激しい快感に浸る二人。
「あッ、ナッチ……、イッ……イク」互いに繰り返す絶頂……。
「マキ、私……また、イク、嬉しい、あう、イク……」溢れる蜜、淫らな声。どこへ向かうとも知れない車の中で、二人は体を重ね一時の快感に身を委ねていた。二人を乗せて、車は闇を走りつづける。
逃亡者、追跡者-------------
マンションの七階。(何が……?)サヤカは目の前の出来事が理解できなかった。立ちすくむサヤカの前で、レエルは黒人の手から鍵らしき物を拾うとドアを開けた。そのまま黒人の体を扉の中へ引きずり込む。
「中澤さん、七井さん、中へ……。他の娘。達がいるはずです。時間が惜しい」
男の声に、弾かれた様に駆け込む二人。部屋に入るとそこには、真里、加護、辻、マキ似の男、が縛られて、眠っていた。
「遅かった……か」響くレエルの声……
夜の街の中を疾走する銀のポルシェ。運転席に座り、狂気じみたスピードの車を操るレエルを助手席に座ったサヤカは見つめていた。真里の部屋にいたメンバーは、中澤ヨウコがレエルの指示した病院へ運んだ。
「レエルさん、何が……どうゆう……?」中澤の車に乗り切らないサヤカを部屋に残しておく訳にもいかず、仕方なく車に乗せたのだった。
「黒人の事?あれは足の指を撃った。弾が勿体無かったが……」黒人は縛られ部屋に置かれている。
「いえ、そうじゃなくて……」凄まじい加速。サヤカは車に乗った事をかなり後悔していた。
「事の始まりは、赤い粉……」
「媚薬……?」
「実際は強力な催眠薬です。媚薬作用は副次的なモノですよ」深夜に響く空冷フラット6エンジンの轟音。
「誰が……?」
「今、向かっている……。危険です。降りますか?」レエルの低い声。
「いえ……、マキとナッチに会いたい……」話すと唇が痛む……。だが、そんな事はどうでもよかった。ただ……会いたかった……。
走り続ける冷凍車。その薄暗い倉庫の中。抱き合う二つの影。
「マキ、私達どうなるのかな……」繰り返すキス……。温かな抱擁……。
「ナッチ……、わからない。でも行き先は……たぶん……」涙に濡れたマキの瞳。安部はいとおしく頭を撫でる。
「何処?きっと、皆が助けてくれるよ」
私がしっかりしないといけない……。安部は強く思う。ポロポロとこぼれるマキの涙。
「横浜……、横田基地……」必死で搾り出すようなマキの声。
「そんな……米軍基地……?」
「米軍?レエルさん、それって……」疾走するポルシェの中、サヤカの声が響く。
「ああ、ただ米軍が悪いわけじゃないよ、いくら何でも」相変わらずのスピードを軽々と操り、話すレエル。
「なら、どうして?」(マキ、ナッチ、一体……?)「米大統領の選挙の事、知ってますか?」突然の質問に答えられないサヤカ。
「大統領が変わると、日本の基地司令官も変わるのです」言葉を続ける男。
「その家族も……。米国に帰ります、明日の朝に……」
走る冷凍車の中……。
「マキ、どうして米軍?」愕然とする安部。
「司令官の息子が……、真里たちと横浜に買い物に行った時に……」ゆっくりと話すマキ。
「辻と?」
うなずくマキ。
「あと、加護と……。その時、真里が赤い薬で……」(赤い薬……)安部は思い出す、あの粉を……。
「催眠薬だって、真里、私達をかばって一人で……」マキの目から溢れる涙。
「私とナッチが狙いだって……、親しい大統領候補が勝てばアメリカに帰るから、その前にって」
「レエルさん、ならあの黒人は?」サヤカの声。
「バカ息子の友達かな?ついでに言えば、この車もバカ息子のモノ」なぜか嬉しそうなレエルの声。
「あの黒人が鍵持っていたから、借りた。いい車だよね」踏み込まれるアクセル。
「レエルさん、追いつけるでしょうか?」心配そうなサヤカの声。
「五分五分かな?黒人に聞きだした所、冷凍車だそうだから速くは走れないはずだが……」レエルの真剣な声。(無事でいて欲しい……)サヤカは思う。
『ガタン』突然、大きな揺れが倉庫に走り、冷凍車が停まる。
「マキ、大丈夫?」ささやく安部。マキは痛む腕を抱えながら頷く。『ギギギ……』きしむ音をあげて、扉が開く。流れ込む冷たい外気。
「二人とも早く降りて……」聞いたことの無い声、アクセントの少し狂った日本語。じっと安部とマキを見つめている、一人の白人。
「でないと、また殴るよ……」薄笑いを浮かべたままマキの腕を見ている。(おぞましい)安部は心の底から思った。
「レエルさん、あれ!」サヤカの指差した前方に冷凍車が停まっていた。
「ん!?」前の道路に横たわる人影。
床一杯に踏み込まれるブレーキ。人の直前で止まるポルシェ。
「マキ!」車から駆け下りるサヤカ。
「バカ!出るな」言いながら、仕方なくドアを開けサヤカの手を掴もうとするレエル。
だが……。『パンッ』吹き飛ぶレエル。
「レエルさん!」サヤカの叫び声。
「動くな……」サヤカがクローゼットの中で聞いた声が闇に響く。
(左肩か……、クソッ)久々に味わう弾の痛み。左腕に流れる血。
「まだ、生きているだろ?」アクセントの狂った声。
(銃は車の中か……)サヤカを見捨てる事のできなかった自分に、なぜか笑いたくなる。
近づいてくる足音。
(右手だけでもやれる)昔、もっとずっと酷い状況でも何とかやってきた。
「変な動きをすると、女を撃つ」綺麗な英語。あきらめて目を閉じる。
『ガツンッ』こめかみに重い一撃。サヤカの叫び声が聞こえた気がした。
気を失っていたのは、長くても十分程度だったろう。
冷凍車はすでに無く、タイヤを撃ち抜かれたポルシェだけがあった。
肩を押さえ中を見るが、銃は無かった。時計を見る。
深夜、二時。車の少ない通りで、絶望的な状況だった。
(黒人と連絡が取れないから、不信に思い待ち伏せしたのか……、女を囮に)
パソコンが見つかる。
仕方なくメールを送る。その時、聞こえる車の音。
(よし、まだツキはある……)近づく車、中澤のアルファロメオ……
「レエルさん、肩、大丈夫……」黒い車の中。
中澤は時折、視線を俺に向ける。
「問題無い。急いで」肩の痛みなど、どうでもよかった。
「着いたわ」見える基地。
「ここで待っていて下さい」言い残し車を降り、昔の記憶を辿り進入場所を探す。
(ここに入るのは、久しぶりだな……)たいして見張りがいないのが救いだった。
音も無く、基地内に入り込む。
(待っていろ……、借りは返す)目的の家に向かう。
(宴は終わりだ……)左肩が熱かった。
目的の家に向かい走る。なぜか、昔の事を思い出す。
12?3年前、まだロシアがソ連だった頃を……。
(辛かったな……)日本人の病気の母、
かつて、レスリングの金メダリストだったロシア人の父。
父が急死し、飢えと貧困の中でKGBの少年課に入隊した事。
毎日繰り返される人を殺す為の訓練。初めての実戦、殺人。
祖国の崩壊、母の死。戦友と一緒に日本に逃亡した時の事。
左手からポタポタと血が垂れる。(あの家だ……)静かに近づく。
家の周辺をまわる。
間取りを予測して、キッチンの窓の下に行く。
普通、キッチンの戸締りは甘い。
人の気配が無い事を確認しポケットからピッキング(鍵開け)の道具をだす。
左手が上手く使えず苦労したが、2?3分程で成功した。
音を立てないように裏口を開き、中へ入る。遠くで聞こえる話声。
近くにあった包丁を取り、足音に注意して声のする部屋へ向かう。
(刃物は苦手だ……)ナイフが上手かった戦友の名を思い出す。(ヤスシ……)
(ごめんなさい……レエルさん……私)サヤカはゆっくりと目を覚ました。広く白い部屋。(マキ、ナッチ!)辺りを見回す。安部とマキは隣で眠っている様だった。腕が痛い。見るとロープで手を縛られている。
「起きたね」
男の声。
「サヤカ、昔のメンバーなのか……」言いながら男は、注射器をテーブルに並べている。
「何を、するつもり」恐怖、怒り、言葉が上手く出ない。薄笑いを浮かべたまま男は注射器に透明な液体を吸い込む。
「まず、サヤカからね」注射器を持ち、近づいてくる男。そのドロリと濁った目。あまりの恐怖に嘔吐感がこみ上げてくる。
「動くなよ」言いながらサヤカの腕を握る。ロープに縛られて血管の浮いた、サヤカの白く細い腕。
「やめ……やめて」必死に逃げようともがくが、男の腕にがっしりと固定され動けない。アルコール綿で消毒され、その部分に針がゆっくりと差し込まれる。
「イヤ……嫌」少し血が逆流し、シリンダー内が赤く染まる。
ゆっくりと押しこまれる、赤く染まった液体。そして、針が抜かれた。一瞬、体が震え心臓の辺りに鈍い衝撃が走ったような気がした。次の瞬間には、目の前に薄いモヤのようなものがかかり、甘い衝撃が体に走る。
「サヤカ……、いい表情だよ」
男の笑い声。(嫌だ、こんな)「サヤカ、もう僕のモノだよ」言いながら、頬を舐めてくる男。それだけで達しそうになる程の快楽があった。(レエル……さん)解かれる腕。(堕ちちゃう、私)
宴の終わり?
男の手が、胸を撫でる。サヤカを襲う嫌悪感。しかし、耐えがたい程の快感。
「あっ、あ、イヤ」(気持ちいい、イヤ)「たまらないだろう?サヤカ」言いながら、キスをしようとする男。必死で顔を背ける。その時。『ガンッ!』大きな音を立てて部屋のドアが開く。(何?)目をドアに向けた時には、もう終わっていた。投げられた包丁が右手の甲に刺さり、うめいている男。その顔を蹴り上げる足。
「屑が」レエルの低い声。
うめきながら崩れ落ちる白人の体。その髪を掴み、顔に膝蹴りを入れるレエル。崩れ落ちた男の両手を掴み、素早く折る。『ゴキッ……』鈍い音が部屋に響く。ドアが開いて一分も経っていなかった。床に落ちてあった銃を拾い撃つレエル。『プシュッ、プシュッ』軽い音が響き、床には両足を撃ち抜かれ失神している白人が転がっている。
「レエルさん……」呼びかける。
「遅れました。すいません」冷静な、安心できる声。サヤカは抱きついた。
よろよろと抱きついて、唖然としているレエルにキスをした。全身を満たす安心感……。胸に両手を回す。(細いけど、すごい筋肉)レエルから匂う血の香り。
「ごめんなさい……、私」言いながら、またキスをしようとしたその時。
「サヤカ、ラブシーンは後よ」聞こえる笑い声。ドアに中澤ヨウコが立っていた。レエルもかすかに照れながら離れる。
「一応、任務終了です」レエルの声。
「まあ、結構これからも大変だけどね」返す中澤の声。
(私、恥ずかしい……)私は思いながら、ナッチとマキの腕を縛るロープを解き、起こした。呆然としている二人に中澤が語りかける。
「もう大丈夫。帰ろう、安部、マキ、がんばったね……」泣いている二人を見ながら、私は銃を点検しているレエルのそばにいた。突然ドアに目を向けるレエル。
「お待ちしておりました」レエルの厳しい声、英語。見るとドアにガッシリとした体格の初老の白人が立っている。
「私にメールを送ったのは君か……」
「息子が大変、ご迷惑を……」言いながら頭を下げる男。
「別に、私は仕事ですから……それよりも中澤さんの案内を、ありがとうございました」レエルに促され、皆、部屋を出る。
「この人に基地の入り口から連れてきて貰ったの……、レエルさんがメールで知らせたみたいで……」
私に小声で話す中澤。皆で家から出る。前に停めてあった車に乗り、中澤がエンジンをかけた時、家から一回銃声が聞こえた。
「軍人か……」車内にレエルの声が響いた。
それからの事は覚えていない。病院に着いて、何か注射を打たれたような気はする。気が付くと、ベッドの上だった。
「もう、大丈夫よ」
私に話し掛ける見知らぬ老女、医者なのだろう。
「打たれたモルヒネと……は抜けたわ」何か色々な薬品名を言っているが、全然わからなかった。
「あの……皆は?」ゆっくりと尋ねた。
「平気よ、あと二日程で薬は抜けるわ」ニコニコと話す老女。
「あ、あと……、レ、レエルさんは?」なぜか顔が赤くなる。
悪夢の終わり?
病院で左肩の治療を済ませたのが朝の五時頃だった。予想通り大した怪我ではなかった。病室を見ると皆グッスリと眠っている。
「ばあさん、車借りるよ」言ってホンダの軽を借りる。信号待ちの間に煙草に火をつける。(長い一日だったな……)紫煙を吸い込む。左肩が振動の度に疼く。ようやく事務所に帰り着き、銃の手入れを行う。シャワーを浴び、ベッドに潜り込む。(今日は良く眠れるだろう)十時間後、事務所のチャイムが鳴った。
机に座り、PCを使っている最中だった。司令官からのメールで、真里のマンションに放置してあった黒人を拘束した、とあった。夕刊には、司令官の引退と、その息子の死が小さく報道されていた。死因は事故死になっていた。酒に酔い基地内での暴走、事故……。色々と考えながらドアののぞき窓から、訪問者を見る。意外な人物。長い黒髪、整った顔、意思の強そうな目。ドアを開ける。
「レエルさん」七井サヤカが立っていた。
「あの、ご飯……、食べましたか……?」たったそれだけの事を話すだけでも、勇気を振り絞らないといけなかった。病院でレエルの事務所の場所を聞き、迷いながらもやって来たのだった。
「いや、まだですが?入る?」レエルの声。気を落ち着かせて部屋に入る。
「パスタ、作ろうと」食材の入った袋を見せる。
「えっ?あ、ありがとう」レエルの動転した声。なぜだか、とてもおかしくて笑ってしまった。
(ああ、悪夢は終わったんだ)
レエルの殺風景な部屋。必要な物しか置いていない部屋。
二人はパスタを食べ終え、向かい合う様に座り、食後のコーヒーを味わっていた。
「ありがとう、とてもおいしかったです」微笑みながら話すレエル。
「よかった」自分でもなかなかの出来だと思ったが、やはり褒められると嬉しかった。
「でも、サヤカさんは何故?」レエルの質問にテーブルにカップを置き、答える。
「お礼と、質問があって……」レエルを見つめる。
「質問?何?」
「私が道路に置かれていたマキを見て、車を飛び出した時にどうして助けてくれたんですか。私、もう@娘。じゃないから助ける必要は無かったのに……」(あの時、レエルに庇って貰わなければ弾は私の頭に当たっていた)
サヤカの真剣な声に真面目に返すレエル。
「確かに、ただあの時、俺と君はパートナーだった。だから、助けた……」優しい声。
「でも、私の所為で」頬を涙が伝う。
「ごめんなさい」レエルの手が髪を撫でる。
椅子から立ち上がり、レエルの隣に座る。ポロポロと涙をこぼしながら、ゆっくりと抱きついた。(私とこの人は、住む世界が違う。たぶん、二度と会えない……。でも)胸の中に溢れる想い。押さえられない。レエルの耳に口を近づけ囁く。
「もう、こんな事言いません。一度、だけ……、抱いて欲しい……」サヤカの震える唇。
その赤い唇に、レエルの唇が重なる。コーヒーと煙草の香り……。
(私……ずっと忘れないわ)ゆっくり舌を絡める。
薄く闇に閉ざされた寝室……。
そこにあるシングルベッド。
私達は、何度もキスを交わしながらゆっくりと服を脱ぐ。
レエルの肌に、私の黒髪がサラサラと音を立て流れる。
ベッドに横たわり、鍛えられた胸に指を這わせる。
左肩を見る。そこには白い包帯が巻かれている。
そんな私を見て、優しく抱きしめる腕。
それだけで、激しく濡れてゆく……。
肌が触れ合い、甘く体が震える。
彼の背に手を回し、耳に囁いた。
「入って、いますぐ入って……」
サヤカをゆっくりと覆うレエル。
無意識のうちにゆっくりと足を開く。
サヤカの濡れた秘部に、熱く硬いペニスがあてられる。
ペニスの先端が濡れた性器にあたる。
(あああっ、私……)全身を満たす快感。
ゆっくりと入ってくるモノ。
サヤカの秘部は、透明な愛液と赤い血に濡れていく。
(痛い……、だけど……)サヤカの口から漏れる、
苦痛と快楽の声。
レエルの体に腕を回し、しがみつく。
痛みなのか、快楽なのか、わからないまま抱きしめる。
体を突き抜ける激痛と、
ドロドロに溶けそうな程の快楽。
その狭間で、レエルをしっかりと抱きしめる。
(このわずかな時間を、永遠に……)
「ああああっ、いくっ……」
サヤカの口から漏れる絶叫。
体がガクガクと震え、ペニスを締め付ける。
「ああっ」かすかな声と共に、
サヤカの中に吐き出される精液。
痙攣を繰り返し、全て受け止めるサヤカ。
熱いものが下腹部に広がる。
シングルベッドの上で抱き合う二人を、
優しく眠りが包んでゆく……。
まどろみからゆっくりと目を覚ます。
部屋は、カーテンからこぼれた光でうっすらと明るい。
朝の柔らかな日差し。
狭いベッドの上で、
抱き合ったまま眠っていた。
(もう、二度と会えないのかな……)
胸によぎる悲しい予感……。
眠るレエルにキスをする。
「んっ……」目蓋を開くレエル。
私はその体に抱きついたまま、
小さな声で囁く……。
全ての想いを込めて……、
涙を隠して……。
「ねえ……、モーニングコーヒー飲もうよ……、二人で……」
娘
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