「ほら、起きて。いつまで寝てるんだよ、まったくもう」
真由美の声で目が覚めた。今日は休日なので、多少はゆっくり寝ようと思っていた。すでに良い匂いが漂っていて、朝食の準備が終わっている。僕は、どうして早起きなの? と聞いた。
「買い物行くからだよ。ほら、早く食べて準備しな」
真由美は、今日は朝から機嫌が良い。相変わらず口は悪いが、それはいつものことだ。僕は、まだ少し寝ぼけたまま、どこへ? と聞いた。
「なんで覚えてないんだよ……赤ちゃん用品買いに行くって言っただろ?」
真由美はムッとした顔で言う。そこまで言われて、やっと僕は思いだした。そして、やっぱり妊娠したのは夢じゃなかったんだなとあらためて自覚した。
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