涼子と息子と3人でショッピングモールに到着したときには、すでに行列が出来ていた。でも、思っていたほどの長い列ではない。
「よかった、これなら買えるだろ」
涼子が、ホッとしたように言う。息子は何の列かもわかっていないようだが、いつもと違う光景に楽しそうだ。姉さん女房で怖いイメージもある彼女だが、息子のことに関してはマメで優しい。
そして、ほどなくして問題なく合体変形ロボを購入できた。息子は、買って初めて何の行列だったかわかったみたいで、メチャクチャ喜んでいる。そんな姿を見て、涼子も優しい笑みを浮かべていた。
本当に、幸せを感じる。最初に出会ったときは、こんな風になるなんて少しも想像していなかった。フードデリバリーの仕事なんて、人間扱いされないときも多い。そんな中、涼子は本当に優しかった。そして、こんな幸せに繋がった。
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