日本なのに玄関ホールが15畳、6人暮らしでバスルーム3つ。
アメ車を2台、大型犬を3匹飼っていた。
アホな家だった。
父方の祖母と同居、美人な専業主婦と洒落乙アパレル父。
上っ面だけ見れば非の打ち所のない家だったと思う。
しかし見事なまでに上っ面だけ。
私が物心ついた頃にはすでにその家は両親にとって戦場でしかなかった。
毎晩罵声を聞きつつ、早く離婚すればいいのにって思っていたのは覚えている。
母「一人暮らしもしたことないガキがほざいてんじゃねぇ」
母の一言に父が広いリビングを走り出した。
それと同時に二階に住む祖母が、「やめなさーい!」と駆け下りてくる。
そうしてばあちゃんが羽交い絞めにしたのは、襲いかからんと走る父ではなく母だった。
不恰好なジャンプミドルキックが決まり、母は骨折した。
当時の母は精神も肉体もボロボロだった。
まだ30代だったが更年期障害のような性格だった。
口を開けば父の愚痴、祖母の愚痴。
不眠症のせいか午前中は起きてこなかったので、小学校6年間はひとりでトーストを焼いて学校に行った。
父は私にだけはとかく甘かった。
反面、兄には厳しかった。
兄の誕生日は祖父の命日だからという理由でお祝いなし。
高速道路で無邪気に車の窓から顔を出した兄。
「あぶねーだろ!」と叫んだ父は運転席のボタンで後部座席の窓を閉める。
窓と窓枠に頭を挟まれ泣き叫ぶ兄と、叫ぶ母と、それでも閉めるボタンを押し続けた父。
兄の部屋で喧嘩して、私が飛び出しドアバタン!
別室の父「おい、うるせぇぞ!ふざけんな!!!」
私「ご、ごめんなさい(ガクブル)」
父「あらぁ~○○(私)ちゃんでしたかぁ、ドアしゃんがイタイイタイ言ってましゅよぉ~」
こんな感じ。