フロント前の椅子にスレンダーな身体で、茶系のスカートに濃紺のサマージャケットを着た美佐子が座っていた。
美佐子は44歳。
清楚で綺麗な奥様で、緊張した面持ちであった。
清楚で綺麗な奥様で、緊張した面持ちであった。
私は隣の椅子に座りそっと「美佐子さんですか?」と囁くと、「はい」と軽く頷いた。
チェックインの手続きだけ済ませ、ティーラウンジでお茶をしながらたわいもない話で彼女の気持ちを落ち着かせた。
本当に見れば見るほど浮気などしそうにない奥さんである。
込み入った話は人目をはばかるからと、用意した部屋へ誘うと、暫く沈黙して下を向いていたが、意を決したように「ええ」と返事をした。
私は直ぐに立ち上がり、彼女も私に促され、後に続いた。
エレベータの中でも少し私から離れて立って、伏し目がちで後に付いてきた。
部屋に私が先に入り、意を決したように彼女が続いた。
ドアロックをして部屋の奥を向くと、17階の窓から見える景色をボーッと立ったままで見ている彼女の後ろ姿が目に飛び込んできた。
私はスーッと傍により抱き締めた。
彼女の柔らかい身体の感触と、ほのかな香が鼻をくすぐった。
暫く身体を密着させて抱き締め、肩を掴んで私の方を向かせて顎に手を当て上を向かせてキスをした。
かすかなたじろぎはあったが抵抗ではなかった。