二人とも高校三年生で、俺はバレーボール部、彼女はテニス部に所属している。
運動部の3年生はみんな仲がよく、別の部活の友達と話す事も多かったが、ある日、バスケ部の後輩Aが、女子バスケ3年の子をヤッたという話を聞かされた。
そんなにカッコイイ奴ではないけどチャラチャラした奴で、女の子の誘い方が相当しつこいらしく、一回手を握ったら絶対に放さないらしい。
なんでも友達の彼女まで同じ手法で寝取ったという話だ。
ある日、バスケ部の友達Bと、後輩Cが俺の所に来て「Aがヤッている様子を覗ける」と言う。
場所は体育館の用具室。
この用具室の扉の中に隠れて行為を覗こうということらしい。
なるほど、ここなら体育館の鍵を閉めれば誰も入って来ない。
それから数日後、Aが女子を口説いているのを発見した後輩Cが報告に来た。
「先回りしましょう」
俺たち3人は急いで用具室に入り扉の中に隠れた。
何十分待ったかな?Aと女子生徒が入って来た。
(背の高い女の子だな・・・あれ?!)
Aに連れて来られた女子は俺の彼女の『友美(仮名)』だった。
何がなんだか分からなかった。
2、3日前に彼女とAの存在について教えて、そういう誘いには気を付けようと話をしたばかりだった。
(何か弱みを握られたのか?それとも脅されたのか?)
止めさせねばと思ったが、それよりも強く“このまま見ていたらどうなるか?”という気持ちが心の奥に湧いてきた。
実は彼女とは上手くいってなくて、別れることも考え始めていたので、絶対に止めさせるんだ!という気持ちまではならなかった。