膝下まで雪が積もっていた。
夜半、新年会が終わって送迎バスを降りようとしたら、まだ酔い潰れた同僚がシートにうずくまっている。
「おい、山下さん!(仮名)」
声をかけたが、反応がない。
完全に酔っぱらっている。
「どうしますか、自宅までお送りしますよ」
運転手の言葉に甘え、酔い潰れた同僚のアパートの近くまでバスに乗せてもらった。
バスが入れる限界のところで山下をおぶって降り、あとは約30メートルの除雪されていない新雪の中をアパートまで歩いた。
いつもは威勢のよい山下も、このときばかりは羽目を外して飲み過ぎたようだ。
コート越しの背中に当たる山下の乳房がなんとも言えず柔らかく感じられた。
酔い潰れた山下は自力で俺にしがみつくことが出来なかったため、ジーンズのヒップを俺がしっかり抱える形になっていたが、無意識のうちに鷲掴みになっていた。
玄関の鍵は山下のジーンズのポケットに入っていたが、探しているうちにだんだんと意識がはっきりしてきた山下が、「鍵を開けて、一緒に中に入って」と言ってきた。
当時30才独身、男勝りで負けず嫌いな性格とは裏腹に、スタイル抜群で美形の山下に誘われて、俺はふらふらと部屋に上がり込んだところまでは良かったが、山下は玄関で靴を履いたままのびてしまった。
部屋の中とはいえ外気は零下15度。
火の気のない玄関に泥酔状態で放置しておいたら凍死の危険性が高い。
とにかく靴を脱がせ、部屋に連れて行った。
狭いアパートの玄関でお姫様だっこは腰にきたが、どうにかソファーにおろした。
ストーブに火を入れ、毛布を出してきて掛けてやると、毛布を持った俺の腕を山下が離さない。