小5の時のクラス替えで、体がデカくて腕力のあるジャイアンみたいな奴とクラスが一緒になった。
ジャイアンは、俺が空手をやってると知ると俺と同じ道場に通い始めたけど、寸止めルールだから長くやっていてスピードのある俺の方が組み手では強かった。
(殴り合いのケンカならジャイアンの方が断然強かっただろうけど)
それでジャイアンが俺に一目置くようになって、向こうが俺を一方的に気に入っていた。
中学になるとジャイアンは当然のようにヤンキーになった。
ヤンキーになるとジャイアンは空手を辞めたけど、俺は続けていた。
1年生でもう一人でかくて強いヤンキーがいて、噂ではジャイアンとそいつがやり合ったようだけど、ジャイアンの方が勝ったようだった。
ヤンキーの間の上下関係や力関係は分からないけど、ジャイアンはヤンキーの間では有力者のようだった。
それでも俺と廊下ですれ違ったりすると親しげに話し掛けてきた。
ジャイアンは俺の事を「こいつは空手をやっていて俺より強い」などと友達のヤンキーに紹介するもんだから、ヤンキー達にも一目置かれるようになって、2年生になると知らないヤンキーにも挨拶されるようになった。
2年生の時、遠足のおやつを買いにスーパーに行くと、知らないヤンキー女に声を掛けられた。
向こうはジャイアンと知り合いのようで、俺の名前と顔を知っていてあれこれ話し掛けてきた。
田舎なので俺を含めてダサイ服装の中学生が多いけど、そのヤンキーは私服はお洒落で可愛かった。
後から知ったけど、お爺ちゃんがロシア人のクォーターで、茶髪は染めたわけじゃなくて地毛で、色白の美人だった。
俺はアメトーク風に言うと、中学の時にいけてないグループに属して女子には免疫がなかったので、ちょっとドギマギした。
俺はおやつは制限の金額を守って買ったけど、ヤンキー女は明らかに多く買っていた。
店を出るまでずっと着いてきて、俺が自転車に乗って帰ろうとしたら「歩いてきたから後ろに乗せて家まで送って」と言われた。
俺は嫌だなぁと思ったけど、知らない相手に強気に出れなかったので言う通りにした。
二人乗り自転車ですぐの所に家があったが、とにかくデカかった。
「お菓子を買いすぎたから一緒に食べよう」と誘われて家に上がった。
家におばさんがいて、ヤンキー女の母親だと思って挨拶したら、通いのお手伝いさんだった。