もう4年前かあ。
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下宿も決めて、公園のやたら多い街のショッピングセンターで生活道具を揃えて、くたびれて噴水のベンチで座っていると、俺の目の前をお金持ちの若奥様風の二人が通っていった。
「!」
俺はびっくりして、思わず声をかけた。
「高木(もちろん仮名)先生!」
ひとりが驚いてふりむくと、しばらく俺の顔をじーとみて、やっと気付いてくれた。
「ヤマダ(もちろん仮名)君?そうだよね?大きくなったんだーー」
この女性は、俺が東京に住んでいたころ、小学4年のときに教育実習できていた人だった。
そんなやつ生徒の顔をおぼえてるわけないだろ!とつっこまれそうだが、実はその年に俺は両親を交通事故でなくして(俺はのっていたが助かったのだ)、学期の途中でじいちゃんばあちゃんのすむ裏日本に引き取られて行くという、悲劇のヒーローになったので、高木先生も憶えていたのだ。
とりあえずお茶をすることになった。
一緒にいた女性はやたら社交的で、先生ともめちゃくちゃ仲が良いっぽかったので、自然についてきた。
高木先生は結局教職につかず、普通の会社に勤めたが、結婚して辞めたのだが、なんと去年離婚して実家に帰ってお父さんの会社を手伝っているらしい。
俺は、なんかやばい話になったかな、と思ったが、一緒にいる横尾さん(もちろん仮名)が妙に明るく話し上手なせいで、不思議にくらーい雰囲気にはならなかった。
俺が先生のことを何故覚えていたかというと、それは当然高木先生が美人だったからだ。
10年たった今も、先生は十分美人だった。
あの頃と違い、18の俺には「性欲」という悪い連れができている。
先生のメールもゲットし、俺は東京での生活はいいスタートを切れたな、と思った。
高木先生と再会してから二ヵ月後、先生からメールが来ていた。
この前一緒にいた横尾さんの家で、食事をしませんか・とのお誘いだった。
俺は喜んで返事を出し、大学で出来た東京の友達にと服を買いに行き、地元では県庁所在地に行く時くらいにしかしないおしゃれをして最寄りの駅で待っていた。
横尾さんの運転するアウディが、高木先生を助手席に乗せて俺に近づいた。
車はドラマで見たようなニュータウンの中を走っていく。
「ヤマダ君大きいから、すぐ見つかるよねー。
身長いくつ?何かスポーツやってるの?」
身長いくつ?何かスポーツやってるの?」
横尾さんが俺に話しかける。
「あ、思い出した。
リレーでアンカーやってたよね?」と先生が言う。
リレーでアンカーやってたよね?」と先生が言う。
「今182くらいですねえ。
もう止まったと思うけど・・。
高校では水泳やってました」
もう止まったと思うけど・・。
高校では水泳やってました」
「なるほどねー。
いい体してるもんねー」
いい体してるもんねー」
横尾さんはなかなか色っぽいことを平気で言う。
高木先生と横尾さんは、小学校から大学までずーと一緒の(いわゆるエレベーター)クラスだったらしい。
横尾さんは卒業して、不動産会社、画廊の受付、外資の秘書をやったたお、なんと某会社のスチュワーデスをやっていたらしい。
なんか派手な雰囲気は、そういうことだったのね。
横尾さんのご主人は、まあ100人が聞いたら100人がしってる大企業に勤めていて、今中国でのプロジェクトを立ち上げる為、長期出張中とのこと。
つまり、先生も横尾さんも結構暇なので、東京になれない僕をはげますという口実で二人で飲もうということらしかった。
食事はおいしく、何故かワインも出てきて、先生は未成年の俺にもどんどん進めていく。
俺は死んだ父親に似て、以上に酒が強くパカパカのんでも、ちっとも酔わない。
美人若妻とバツ一女性(笑)は、いいペースでボトルをあけていった。
横尾さんは、高木先生が俺の初恋だという話をけらけら笑いながら聞き、先生はだいぶ酔ってきて、
「あの時はやまだくん大変だったよねえ。
でも泣かずにお葬式にでててえらかったよねえ。
私の方がボロボロないちゃって、確か先生だいじょうぶですよ、とかいってたよねえ。
でも大きくなって、こんなにかっこよくなるなんて、ご両親もよろこんでるよねえ。
。
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」
でも泣かずにお葬式にでててえらかったよねえ。
私の方がボロボロないちゃって、確か先生だいじょうぶですよ、とかいってたよねえ。
でも大きくなって、こんなにかっこよくなるなんて、ご両親もよろこんでるよねえ。
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」
などと、泣き上戸っぷりを見せていた。
6時から始まった「上京青年を励ます会」は、9時頃にはひとり寝てしまっていた。
高木先生はとても30前とは思えないかわいらしい顔で居眠りをしている。
「みきちゃん(先生のことだ。
しつこいけど仮名だ)もこうみえて気が強いからなあー。
しつこいけど仮名だ)もこうみえて気が強いからなあー。
年下のヤマダ君くらいのほうがあうんじゃないかな?どう?私もあと少ししたら中国行かなきゃ行けないし、このこ置いていくの心配なんだよねー。
」
」
笑いながら横尾さんはとんでもないことを言う。
俺も調子に乗って、「彼女とも最近電話してないし、ここは高木先生にチャレンジ、なーんて、からかわんといてくださいよ。
」
」
などと年上の美人人妻と盛り上がっていた。
30分ほど居眠りした先生は突然ばかっと起きて、
「お父さんに怒られる!ゆきちゃん送って!」と半分寝ぼけたまま言い出した。
横尾さんはなれているらしく、「30前の女がお父さんに怒られるって、、、。
いいよ、送ってあげるって」と立ち上がった。
いいよ、送ってあげるって」と立ち上がった。
俺はもう少し美人人妻(笑)との時間を愉しみたかったが、さすがに帰ることにした。
「飲酒運転になりますよ!」
「代行運転よぶから大丈夫。
もう何回呼んだかな」と横尾さんは慣れている様子。
もう何回呼んだかな」と横尾さんは慣れている様子。