オレには2つ年上の兄がいて、別にベッタリくっついてるわけでもなければ、嫌い合っているわけでもない。
どこにでもいる普通の兄弟だ。
オツムの中身もさすがに兄弟で、兄がやっと滑り込んだ2流大学に2年後のオレも何とか引っ掛かった。
2人して同じ大学に入ったのを機に、両親は祖父母の世話と前から口にしてた憧れの田舎暮らしのために四国の実家に帰っちまった。
けど、男2人を悠々の1人暮らしをさせるほど裕福でもなかったので、兄弟で1つの部屋を借りての下宿暮らしになった。
少し古いハイツみたいなところで、玄関から入って左手に簡易キッチン、右手にユニットバスがあって、奥にリビング(オレの部屋)、襖1つ隔ててリビングと同じくらいの和室(兄の部屋)があるという造りだった。
隣り合って暮らせば嫌でも毎日顔合わすが、まあ、プライベートな部分はお互い極力触れないよう暗黙の了解は出来ていた。
オレと兄はオツムの中身は同レベルだったが、兄弟で似ているのはそこまでだった。
兄は小顔で、河相我聞を少し切れ目にして口を小さくした感じ。
中高と体操をやっていたので体も引き締まっており、よくモテるタイプだった。
オレはと言うと、顔は大きく馬面で、背こそ兄より高かったけど痩せており、おまけに父親譲りのギャランドゥが濃く、皆でプールや海に行くのも恥ずかしかった。
同じ兄弟でこの差はなんだ?
もし死んで神様とやらがいたら小1時間問い詰めてみようと今でも思ってる。
それでも兄が憎いわけじゃないよ。
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