小学校6年生の時の話。
生徒数が多かったうちの学校では、夏の間だけ『0時間目』ってのがあった。
より多くのクラスが授業でプールを使うために先生たちが考えた苦肉の策だったのだが、意外と俺たちの間では評判が良かった。
まず6時間目が振り替えられるので、0時間目があるときはいつもより1時間早く帰ることができること、そしてまだ誰もいない小学校というなんだかミステリアスな雰囲気、そしてこれは存分に個人的見解なのだが、着替えは教室だった。
プールに付属した更衣室は体育の時間が重複した時は上級生が使うことになっていて、異性の体に興味を持ち始める頃には、俺たちの欲望は更衣室というコンクリートの壁に阻まれる仕組みになっていた。
だからこそ、だからこそ!この0時間目に対して過大な期待を抱いてしまうのは必然だったのではないだろうか。
0時間目のあった水曜日、いつもより早く家を出る俺。
友人のツトムと登校中も平然を装い踊る心を抑えつけた。
しかし、教室に着いて俺は愕然とした。
6年生になり、異性を意識するのは女子も同じだったんだ。
男子と同じ教室で着替えるのを恥ずかしがる女子の多くは異常なくらい早く来て着替えを済ませているか、女子トイレで着替えてしまうか、あるいは家で服の下に水着を着て登校していた。
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