さすがに鈍い俺も気がついた。
男が来ている!
男が来ている!
踏み込むか・・・しかし、踏み込んでしまったらすべてを失うかもしれない。
今、奥さんは浮気をしている。
しかし、浮気はしているが俺との関係も崩さずにやっている。
もし、ここで踏み込んでしまったら・・・
やつとの関係が続き、俺とは終わるかもしれない。
危うい橋ではあるが、今のまま橋を渡り続ける方が幸せなのではないか。
中の様子は知りたいが、
玄関から入って、鉢合わせなんてことになったらイヤなので、
とりあえず、他の入口を考えることにした。
ベランダになら配水管をよじ登ればあがることができる。
しかし、さすがに白昼堂々配水管を上るのでは目立ちすぎ、
110番でもされたら大騒ぎだ。
で、思いついたのが、トイレの窓のことだ。
階段に手すりに足をかけると、トイレの窓の縁に手が届きそうだ。
懸垂しつつよじのぼり、鍵さえかかっていなければ進入可能だ。
しかも、内階段なので人目にもつかない。
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