死体の解剖やお産の立ち会いなどはゲロもんだったが、今度のはワケが違う。
出張定期健康診断の実地研修で、あの××音楽大学に割り当てられたのだ。
講義中に配られたそのプリントを見ながら、心の中でガッツポーズをとった。
採血、検尿、胸部X線、身体測定など色々あるなかで、俺の担当はなんと聴診!
・・・嗚呼、こういうのを待っていたのだ。
医者の道を選んで本当に良かった・・・。
家に戻り、おさまらない動悸をタバコで落ち着けながら、あれこれ考えを巡らした。
これほど恵まれた機会は二度とないだろう。
脳裏に焼き付けなければ。
脳裏に焼き付けなければ。
ちなみに当日の段取りは、小部屋を仕切り板で2空間に分け、一人が聴診を受けるあいだ、もう片方の空間で2人が服を脱いで待機するカタチらしい。
それから、受け付け係みたいな事をその大学の生徒さんがやるらしい。
名簿のチェックや小部屋に入ってからの段取り(上半身の衣類を全部脱いで、椅子に座って待つ)を生徒に教える役だ。
ただし、それは出入り口の外の廊下でするとのこと。
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