少年実話18

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少年実話18
彼女は美人でした。ビックリするほどの美人でした。
お店で会った数日後、偶然にも全然関係のない場所で彼女と
会ってしまいました。代官山の某レストランで打ち合わせの最中に
商談相手が「イイ女が来たよぉ?。」と言うので振り返ると彼女が
女友達?2人と隣席に案内されているところでした。
あっ!と一瞬で気付き、彼女の方は軽く会釈をしてくれましたが、
俺はセオリー通りに知らん顔をしました。打ち合わせも終わり、
食事を注文しようとした時、商談相手が「あの子達に声掛けようよ!」と
隣席の彼女達に近寄って行き、話しかけていました。(オイオイ!!)
一瞬で意気投合?した様子で、一つのテーブルを囲むハメになりました。
彼女以外の女の子は楽しそうに彼と会話していました。
彼女と何度か目が合いましたが、やり難そうな俺を見て笑っていました。
どう見ても、彼は”彼女狙い”で、仕切りに何度も彼女を見ていました。
2次会の話しになった時、彼女は友達に「帰ろうよ。」と言いましたが、
友達2人は聞く耳を持っていませんでした。渋々、2件目へ移動中に
「人の事は気にせず、適当に消えればイイよ。」と俺が言うと、彼女は
「助かる。あと、お願いね。」と言い、帰りかけましたが、俺達の会話が終わるのを
見計らうように、彼が来て「A子(彼女)ちゃん、こっち。」と彼女を強引に連れて行きました。
2度目の乾杯後、「A子ちゃんは、普段、何やってる人なの?」と彼が質問しました。
彼女は「ソープで働いていますが、何か?」と凍りつく様な答えを言いました。
彼は大笑いしながら、「面白いねぇ?A子ちゃん。」と言い、友達2人は、
顔が引きつっていました。彼女は笑顔で「ホントですよ。」と言い返しました。

「ちょっと。」「A子。やめなよ!」と友達の2人が彼女に言いました。
「ゴメンね。A子ちゃんに興味あって…イヤな事聞いてしまって。」と
彼がフォローしましたが、彼女は「いいえ、気にしてないですから。」と
俺の方を見て笑いました。かなり、卑屈な性格をしていました。
今度は、彼女が彼に「私とヤリたいの?いくら出せるの?」と聞きました。
彼は「いやいや、ちょっと待ってよ!そんな事言ってないよ?。」と
動揺しながら、俺に救いを求めて来ました。(藁)
「タテマエは嫌いみたいやから、幾らか言うてみたら?」と俺は言いました。
彼も友達も唖然としてこっちを見ていました。彼女だけが笑っていました。
彼は堪らず「君だったら、10万で焜Cイかなぁ?。なんてねぇ?。」と口走りました。
彼女は立ちあがり「イイよ。行こうよ!」と彼を連れて店を出て行きました。
2人が居なくなってから、残された友達が「知ってたんですか?」と俺に
聞くので、「前に1度だけ会った事があるよ。」と言うと、彼女の事を話し出し
過去、2回連続で男に騙され、大金を持って逃げられていて
「男はいつも、私を騙すの。だから、男は信用しない。」が口癖になっている
可愛そうな子と説明してくれました。1時間後、友達2人をタクシーで送り
自宅近くのコンビニで買い物をしていると、彼から電話がありました。
「いやーぁ、彼女、最高ですよ。マジ、惚れました。」
「これからも、チョクチョク会ってくれるって約束しました。」
浮かれていました。「はいはい。」と相槌をして早々に電話を切りました。
翌朝、見知らぬ番号で携帯に電話がありました。彼女からでした。
「昨日の私、カッコ良かった?」と言うので笑いました。「自虐的やな。」と
答えると彼女は「イイじゃん。別に自虐的でも…。」と言いました。
何故、俺の携帯番号を知っているのか?と質問したところ、
昨晩、彼が寝ている隙に、携帯のメモリーから調べた。と言いました。
怖い女でした。「彼とは、お金が貰えるから、お仕事としてシタだけ。」と
彼女の言い分も理解できるので、それ以上、関るのは止めようと思い
電話を切りました。しかし、その3ヵ月後、最悪の結末が待っていました。

「最近、代表が会社に来ないんです。業者さんへの支払も遅れがちで…。」と
彼の事務所に行った時、社員の子が俺に言いました。
まさか!と思い、彼に連絡を取り、自宅に呼び出しました。予想通り、
目も虚ろで彼はボロボロになっていました。直接的な話は避けていましたが、
彼が「俺達、今、付き合っているんです。」と言い、彼女の事を真剣に
考えている。と付け加えました。どうも、一人相撲の様子なので、
非情とは思いましたが、その場で彼女を呼び出しました。
「彼はそう言ってるけど、どうなんや?」と確認しました。すると彼女は
「付き合ってないよ。」とハッキリ答えました。彼は「嘘だろ?」と聞きなおしました。
「2日に1回のペースで誘ってくれる、一番イイお客さん。」と現実を突き付けました。
彼は怒りだし、「お前に幾ら使ったと思ってるんだ!!」と怒鳴りました。
彼女は、「知らないよ?そんな事言われても!」とソッポを向きました。
彼が「な、付き合ってるだろ?俺達?」と食い下がると彼女は、
「お金貰わなかったら、○○さんとは、会ってないよ!!」とトドメを刺しました。
「どうして、そんな事、言うんだよ!オイ!」と彼女を押し倒し、テーブルの上に
あったリモコンで殴り始めました。慌てて止めに入りましたが、彼女の額から
鮮血が流れていました。「気が済んだでしょ!!」とそのままウチを出て行きました。
彼は男泣きをしていました。「俺は何やってたんだろ?」とポツリと言い残すと
彼もウチを出ていきました。掛ける声も見当たらず、ただ、見送りました。
その4時間後、彼の奥さんから、交通事故を起こしたと連絡があり、
病院に掛けつけました。彼は、自ら高速の中央分離帯に突っ込んだらしいと
事情を聞きました。彼は左足の指を3本失いました。

彼の奥さんから、「あの人、ここ最近、変だったんです。何か知りませんか?」と
質問されましたが、「分りません。」と答えると、奥さんは寂しそうに
「事故の直前に主人の携帯から○○さんに掛けた形跡があったので…。」と
言われました。俺は「彼とは5時間前に会い、仕事の話をして帰りました。」と
締めつけられる思いで答えました。彼の意識が戻る前に病室を後にしました。
彼はモテる男でした。仕事もカナリできました。ちょっとした”錯覚”で
借金を背負い、自分の体の一部を失いました。正直、責任を感じました。
悩んだ末に彼女に連絡を入れ、会いに行きました。
何も知らない、彼女は額にバンドエイドを張り、「恥かしいよ。」と言いながら、
ウチに入れてくれました。彼が事故に合った事実を告げると彼女は
顔色一つ変えずに「で、私にどうしろって?言うの?」と聞き返してきました。
彼女は無言でアルバムを持って来て、自分の写真を見せ始めました。
そこには、”違う顔”の彼女が写っていました。
「私は騙された度に、顔を変えて生きてきた。」彼女は涙声でした。
「私は、もっと辛い苦しみを男に。あわされてきた。」と言いました。
そこからの話は”被害者意識”のオンパレードで、聞いててウンザリしました。
「で、君には学習能力はないのか?」と言う俺の言葉に彼女は詰まり
「どんな、男と付き合うか?選んだり、決断したのは君やろ?」と聞くと
「その時の私は騙されていたから、分らないよ!」と救い様のない答えでした。
そんな彼女も元々は、素直なイイ子だったろうに…、とアルバムの中の
”違う顔”で写る、彼女の笑顔を見て、そう感じました。


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