息子が修学旅行に行ったタイミングで、妻と久しぶりに温泉旅館に泊まりにきた。
妻の佐江子は、38歳の少し肉付きの良い女性だ。草食系の私とは逆で、何事にも積極的で行動的な女性だ。いつも、引っ張ってもらっているイメージだ。
「なんか、ゆず君がいないと変な感じね」
佐江子は、息子がいないことにまだ違和感を感じているみたいだ。確かに、こんな風に二人で出かけたのは、何年もなかったことだと思う。
温泉街の少し外れにあるこの宿は、小ぶりだけど食事が美味しいと評判の宿だ。温泉はそれほど大きくはないが、貸切の物も含めると5つもあってなかなか面白い。
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