大学に入ったばかりの俺は、先輩に紹介された塾で講師のバイトをすることになった。
待ちに待った大学生活ということで、俺は浮かれ気分で塾講師のバイトも大いに張りきっていた。
その塾には正講師になるための研修期間があり、研修生同士で授業のやり方や黒板の書き方を練習し合っていた。
俺は板書が下手だったので、授業後にひとりで板書の練習にあけくれていた。
そんなある日のこと、いつものように練習していると、「あれ、O君まだやってるの?」と後ろから明るい声が。
チョークの手を止め振り返ると、小野真弓似のSさんがいた。
Sさんとは挨拶くらいしかしたことがなかったので、話しかけられて俺はびっくり。
話をしていくうちに、Sさんがふたつ年上で教師志望の大学生であることなどを知った。
それがきっかけで話すようになり、挨拶プラスアルファ程度の話はするようになっていた。
しばらくそういう関係が続いたある日、Sさんからバイト帰りに「軽く飲みに行かない?」と誘われた。
気軽にOKし、池袋の居酒屋でふたりで飲み始めた。