「まだ子供は作らないのか? 畑が腐るぞ」
部長の、下品で時代錯誤の言葉が響く。僕の家のリビングで、食事をしながらの会話の途中でそんな発言が出た。その言葉は、僕の妻の美桜に向けられたものだ。
部長は、仕事は出来るし面倒見は良いが、パワハラセクハラなにそれ? みたいな、昭和の遺物のような男だ。そもそも、頻繁に部下の僕の家に食事に来ること自体、今どきの常識から考えるとズレていると思う。
そして、ビールで酔い始めた部長は、いつもみたいに下ネタやセクハラみたいな事を言い始めた。
「まだ26歳なんで、大丈夫ですよ。健作のお給料上がらないと、安心して子供作れないです」
美桜は、セクハラを気にもしていないような顔で言う。部長は、笑いながら、
「そうか、健作、もっと頑張らないとな!」
と、僕に話を振ってきた。美桜は、本当にあしらい方が上手い。でも、そのせいで部長は最近調子に乗っているように感じる。
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