なのに大学受験を失敗して滑り止めの私大行き、大学にも馴染めず、意を決してサークル入るも女扱いは苦手で、イジラレキャラで彼女なんて出来なかった。
そんな感じで一年ちょっとが過ぎた。
相変わらず俺は童貞で、新入生の「先輩(俺)は彼女いますか?」の質問にも、「今“は”いない」と答えるのが精一杯だった。
学祭も迫った9月のある日、俺は部室に忘れ物を取りに帰った。
夜というには早かったが、辺りは薄暗く部室には誰もいなかった。
忘れ物をとって帰る途中、俺は呼び止められた。
見るとそこにはYちゃんがいた。
Yちゃんは友好サークルの新入生で、背が低いけど目がパッチリ、なおかつオッパイが大きく人気があった。
人気の理由がもう一つあった。
それはYちゃんが“ヤリマン”だったからだ。
「どうしたのYちゃん?」
平静を装いながら、俺の目はYちゃんのスタジャン越しのオッパイに釘付けだった。
「忘れ物したんですけど、部室の廊下の電気が切れてて怖くて・・・ついてきてください」
俺に断る理由もなく(むしろ近づきたかった)ついていった。
Yちゃんの部室はうちのひとつ上で、なるほど夜の学校みたく怖い雰囲気だった。
二人で歩くとYちゃんのシャンプーの香りがする。
あまりのいい香りにゴクリと唾を飲むと、「喉渇いてます?」とYちゃんが屈託のない表情で聞いてくる。
サークルの事とか講義の事を明るい声で話すYちゃんを見ながら俺は思った。
(ヤリマンの噂は嘘なのでは?そもそもヤリマンなんて存在するのか?)
童貞の俺には判断の術がなくよくわからない。
無事部室に辿り着き、Yちゃんの忘れ物も見つかった。
「先輩ありがとうございます」
初めての女性との楽しい時間(そもそもデートしたことさえなかった)が終わると思うと淋しかった。