大学の時のコーラス部の友達の百合絵さんが文学賞を取ったので、大学時代の親友としてテレビ番組に出て欲しいということでした。
私は特に親友というほどでもなかったのですが、百合絵さんは性格が内気なせいか大学の時も親しい人もあまりいなかったようです。
せっかく文学賞を取ったことだし、テレビ番組だから、ともかく人数を集めたいということでした。
出演料は出ないんだけど、記念品くらいは出ると言われて、旦那に一応相談してみましたが、「別に出たいなら出てみれば」と素っ気ない返事でした。
当日はテレビ局のスタジオで礼子さんと待ち合わせしました。
「ところで百合絵さんの受賞作読んだわよね」
礼子さんに言われて私はびっくりしました。
「まだ読んでないの、じゃあ今読んでね、まだ時間あるから」
そう言われて礼子さんは私に本を渡してくれました。
私は慌てて大急ぎで読み始めましたが、大学時代のクラブの様子とかが色々と書いてありました。
どうも私も話の中に登場していて、主人公の親友になっているのでびっくりしました。
まだ半分も読み終わらない内にリハーサルの時間になりました。