裕子さんは、笑顔でさわりの部分だけ説明した。真央は、信じられないという顔をしているが、真剣に話を聞いている。
「ここだと話しづらいから、藤治くんの家に行こうか」
裕子さんは、穏やかな顔でそう言った。
「は、はい。でも、本当にそんなことしてるんですね……信じられない」
真央は、やっぱり信じられないみたいだ。無理もないと思う。そして、三人でタクシーで僕の家を目指した。普段はタクシーなんて利用したことはない。
裕子さんは漁師のリーダー格の人の奥さんで、なおかつ本家の血筋だ。金銭的な余裕はかなりあるのだと思う。
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