結婚間近の彼女に、伝えなければいけない事があった。
僕の実家の漁村には、ヨメカリという因習がある。
元々は、海で亡くなった漁師の妻を励ますためのものだったが、形だけが残っていた。
それは、集落全体で子作りをし、みんなで子育てをしていくという異常なものだった……。
「うん。ごめんなさい。新婚旅行を楽しみたい気持ちもあるけど、あんな風に突然求められるのって、凄くドキドキした……」
コロナ禍で職を失った僕と妻。蓄えも底を突き、家賃すら払えなくなってきた。
そんな僕らに、いつも親切な大家さん。彼は奥さんに先立たれ、一人寂しい毎日だ。
家賃を待ってくれたりもしていたが、そろそろそれも限界で、いよいよ追い詰められてしまっていた。
そんなある日、大家さんが家賃免除の話を持ちかけてきて……。
「それに、私のはちょっと普通と違うので、女性によってはムリと断られることが多いんです。なので、絵理奈さんがOKしてくれても、もしかしたらダメって事になるかもしれないです。それは、先に言っておきますね」
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