そんな田んぼの中の国道を一人、車を運転し、ふる里の墓参に向かった。
あれこれ思いに耽って運転していると、過ぎ去った想いが甦る。
まだ高校生だった頃の彼女を思い出した。
あれから30年が過ぎている。
すると彼女は48歳となっている。
無性に気になってきた。
あの頃の彼女はセーラ服がよく似合う高校3年生だった。
襞のある紺のスカートに包まれたヒップ・・・。
その豊かに膨らむヒップが男心を惹きつけ、いつの間にか彼女に恋をしていた。
毎朝7時38分発の列車で通学する彼女に一目会いたくて、自転車で家を出て、歩いて駅に向かう彼女に駅近く竹藪のある曲がり角で追いついた。
姿を見て「おはよう・・・」と交わすたったその一言・・・。
顔を合わすだけだったが、それで心は和んだ。
卒業した彼女は、その頃、僕が勤める農協に採用されるという。
それを聞いてビックリした。
二人一緒に働ける。
それを思うだけで心が弾んで嬉しかった。
しかし、それはほんの束の間、僅かに二週間だけのことに終わった。
その頃の僕は、公務員採用の知らせを待っていた身だったが、心弾んでいたそんな時に、採用の知らせが届いたのだった。