その時何とはなしに対岸の一人の女性と目があった。
彼女はハッとして目をそらした。
カッコは地味だが、目鼻立ちがすっきりした美人だった。
「あんな女とやりてーなーぁ─」
と思っていると青信号になったので渡りはじめた。
彼女は誰か待っているのか渡ってこない。
「ちっ、近くで見てやろうと思ったのに」
俺は自分で近づいていった。
驚いたことに、彼女は俺の方を向いてまるで待っているかのようにしていた。
「やべっ、変な野郎だと思われたかな」
俺はつとめて然り気無く彼女の横を通り過ぎようとした。
「あっ、すみません。
」
」
通り過ぎようとした俺の腕を掴んで彼女が言った。
「あの、もしお暇なら食事に付き合って頂けませんか?」