それからずっと神奈川住まいだったのですが、うちの会社が中部に新しく事業所をつくるって言うので、そっちに実家の俺に転勤の白羽の矢が立ったのでしょう。
とは言え、さすがにいい年して実家から会社に通うのは何なので、事業所の近くにマンション借りました。
引っ越してちょうど半年ほど経った頃、実家にちょっとした荷物を取りに帰りました。
引っ越してちょうど半年ほど経った頃、実家にちょっとした荷物を取りに帰りました。
その日は平日の昼間だったので、電車も人は少なかった。
ゆったりと席に座って電車に揺られていると、何か視線を感じた。
ゆったりと席に座って電車に揺られていると、何か視線を感じた。
見ると、ちょっと離れた向かいの席に座っている女が、こっちをジッと見ている。
一瞬、目が合ったが、気のせいだろうと思い、すぐに視線を外した。
一瞬、目が合ったが、気のせいだろうと思い、すぐに視線を外した。
するとどうだろう。
その女がこっちにつかつかと歩み寄ってくる。
「ねえねえ、橘ナワフミじゃない?」その女は俺の前で立ち止まり、俺のフルネームを呼び捨てで呼んだ。
その女がこっちにつかつかと歩み寄ってくる。
「ねえねえ、橘ナワフミじゃない?」その女は俺の前で立ち止まり、俺のフルネームを呼び捨てで呼んだ。
あ、橘ナワフミってのは俺の仮名ってことで。
妙に馴れ馴れしい感じだったので、「何だ、こいつ」と思いながらも「ん、ああ、そうだけど。
」俺は不審気に返事をした。
妙に馴れ馴れしい感じだったので、「何だ、こいつ」と思いながらも「ん、ああ、そうだけど。
」俺は不審気に返事をした。
そしてその女をよくよく見てみると、何となく見覚えがある。
ただ誰だか思い出せず、顔と名前が一致しない。
「わあ、久しぶり!元気してた?」向こうはそんな俺をお構いなしに親しげに話してくる。
ただ誰だか思い出せず、顔と名前が一致しない。
「わあ、久しぶり!元気してた?」向こうはそんな俺をお構いなしに親しげに話してくる。
「うん、まあね。
」俺も適当に返事をした。
話しているうちに思い出すだろうと思って。
「橘、髪型変わったから最初分かんなかったよー。
声かけようか悩んじゃった。
」
」俺も適当に返事をした。
話しているうちに思い出すだろうと思って。
「橘、髪型変わったから最初分かんなかったよー。
声かけようか悩んじゃった。
」
「そう?俺はすぐに分かったよ。
」本当は誰だか思い出せてなかったけど、そう言っておいた。
わーわーと年甲斐もなく女ははしゃぎながら、いろいろと話してくる。
」本当は誰だか思い出せてなかったけど、そう言っておいた。
わーわーと年甲斐もなく女ははしゃぎながら、いろいろと話してくる。
俺も適当に話を合わせた。
完全に名前を聞くタイミングは逸してしまったし。
多分、中学か高校の同級生だろう。
同じ部活だったり、同じクラスにはなった事ないはず。
完全に名前を聞くタイミングは逸してしまったし。
多分、中学か高校の同級生だろう。
同じ部活だったり、同じクラスにはなった事ないはず。
なのにこんなに親しげに話し掛けてくる女はいただろうか?駅に着きかけた頃、女は急に慌て出し「わあ、次で降りなきゃ。
ね、携帯の番号教えてよ。
」という。
ね、携帯の番号教えてよ。
」という。
「え、うん、ああ・・・。
」正直、多少の不信感はあったが、彼女の勢いにおされ俺は携帯を開いて自分の電話番号を見せた。
」正直、多少の不信感はあったが、彼女の勢いにおされ俺は携帯を開いて自分の電話番号を見せた。
「ええっと・・・何か書くものない??」「ん、ああ。
」世話の焼ける女だなと思いつつ、カバンからボールペンを出して紙の切れ端に携帯の番号を書いてあげた。
」世話の焼ける女だなと思いつつ、カバンからボールペンを出して紙の切れ端に携帯の番号を書いてあげた。
「ありがと、じゃあ、今度連絡するねー。
」扉が閉まる瞬間に慌ただしく行ってしまった。
ポカーンとしてしまった。
何と言うかマイペースな女だ。
俺は一方的に喋る女に相槌を打つだけだった。
」扉が閉まる瞬間に慌ただしく行ってしまった。
ポカーンとしてしまった。
何と言うかマイペースな女だ。
俺は一方的に喋る女に相槌を打つだけだった。