パートで働いている紳士服のお店に彼がアルバイトとして入ってきたんです。
今から4年前の事だから、私は42歳くらいでした。
私が任されていた部門に配属されたので、初日から私はつきっきりで色々と教えてあげました。
最初は一回りも離れてるし、「かわいい〜」って言う感覚しかありませんでした。
明るくて素直な彼は仕事もどんどん覚えて行って、とてもいいパートナーになってくれました。
彼の名前は浩也と言って、私は最初から彼の事を名前で呼んでいました。
いつしか私達は仕事が終わるとよくお茶をして帰るようになっていました。
私が仕事の愚痴や店長の悪口を言っても、彼は「へえ〜」「そーなんだあ」って感じで嫌がらず話を聞いてくれます。
そしていつの間にか彼は二人でいる時は、私の事を名前で呼ぶようになっていたんです。
「でも千恵さんはさ〜・・」
「千恵さんえらいよ・・」
こんな若い子に名前で呼ばれるなんて初めてで、最初の頃はそう呼ばれただけでドキドキしてしまったものです。
ある日、いつものようにカフェでお茶をしてた時、彼がほとんど口をきかないのに気が付きました。
「どうしたの?」と私が聞くと、彼はじっと私の目を見て言いました。
「千恵さん、二人っきりになりたい。
」
」
私はビックリしてしばらくポカンとしていました。
「まったく〜おばさんをからかうもんじゃないわよ。
」
」
気を取り直して笑って言うと、彼は
「なんでおばさんなんて言うんだよ。
千恵さんはすごい素敵な人だよ。
俺、冗談なんか言ってないよ」
俺、冗談なんか言ってないよ」
彼は真剣な顔をして言いました。
私は内心ドキドキしてしまっているのを隠して
「あなた、私がいくつか知ってるでしょ?
高校生の息子もいるんだよ」
「知ってるけどそんなの関係ない、おれ・・千恵さんが好きなんだ」
「ねえ、出ましょ」私は席を立ちました。
彼が追って来て
「ごめん怒った?でも俺からかってなんかいないし、ここ何日もいつ言おうかって毎日ドキドキしながら仕事してて、もう我慢できなかったんだ」
私は怒ったのでも何でもなく、頭の中がパニック状態で訳が分からなくなっていたのです。
「千恵さん!」
私の腕を彼がつかんで言いました。