私の年齢は46歳で、息子の雄太が19歳、娘の美紀は16歳の高校一年生です。
私は医療事務の資格を持っていたので、昼間は小さな個人病院での事務仕事をし、夜は料亭の仲居として働き、子供たちをどうにか育て上げてきました。
しかしこの春の大学受験を息子の雄太が失敗してから、我が家に少しおかしな風が吹き始め、どこかに空気の遮断壁のようなものが出来てきていました。
予備校に通うこととなった雄太から、それまでの素直な純真さがどこかに消えてしまい、極端に内向的で鬱な性格になってしまったのです。
原因の一つに、大学受験の失敗による家族への申し訳のなさがあることは事実なのですが、母の私も、娘の美紀もまったく気にもしていないことなのに、息子の雄太一人だけがまるで世捨て人にでもなったかのように、拗ねたような被害妄想を大きくしていってしまっているようでした。
予備校にはどうにか通うのですが、帰宅してからはほとんど自分の部屋から出ようとはしなくなりました。
家族三人のありきたりの会話というものが、この二、三ヶ月の間に瞬く間に途絶えていってしまったのです。
私が帰宅するのはいつも夜の12時前後で、娘の美紀から雄太の挙動について訊くのですが、内向的で鬱的な傾向は強まるばかりで、母としての心配は毎日募るばかりでした。
ある時、私は息子の雄太に問い質しました。
「雄太、どうして家族と交わろうとはしないの?何かお母さんにでも不満があるのなら言ってちょうだい」
この時の雄太の答えは、「何にもねえよ」の一言だけでした・・・。
そしてあの忌まわしい出来事は、八月下旬の雨の降る午後に起きてしまったのです。
私が帰宅したのは午後11時過ぎでした。
狭い玄関口に見慣れない男物の靴が幾つも、まるで足の踏み場もないくらいに雑然と脱ぎ散らかされていました。
いつもなら居間にいるはずの、娘の美紀の姿が見当たりませんでした。
居間に並列して二つの部屋があり、ベランダ側の六畳の洋間が雄太の部屋になっています。
その雄太の部屋から妙に騒々しい音楽の音が聞こえ、時折、ひそめるような声での何人かのざわめきが耳に入ってきていました。
そのざわめきの中から、私は娘の美紀の呻くような声を聞き取り、唐突な不安感に襲われ、思わず雄太の部屋のドアを強くノックしていました。
一瞬、ざわめきの声は静まり、娘の美紀の断続的な呻き声だけになりました。
ただならぬ気配を感じ、ドアのノブを思い切り廻すと施錠はされていなくて、簡単にドアは開きました。
室の中一杯にタバコの煙が充満していて、アルコールの臭いが強くしました。
息子の雄太を含めて、男が四人いました。
その雄太は何か紐のようなもので両手足を括られた状態で、床の上に転がされていました。
口をガムテープで固く塞がれていました。
雄太以外の三人の男たちは全員が素っ裸になっていて、壁の横のベッドに群がっていました。
全員が20歳前後の若者でした。
そのベッドの上に娘の美紀がいました。
全裸にされて犬のように這わされていたのです。
私はあまりの驚愕に、思わず声を失っていました。
全裸の美紀の周囲に男三人が群がっていて、一人は美紀の剥き出しの臀部に密着するようにして、膝を立てて腰を前後に律動させていました。
俯いた姿勢の美紀の顔の前でも、男が膝を立てていました。
あろうことか美紀の口の中に、その男の下半身の突起物が深く沈み込んでいました。