電車が動き始めてすぐに自分の尻に手が伸びてきて、咄嗟に『あ、痴漢だ』と思った。
しかし、つい先日まで違う人にずっと痴漢されていたのもあり、『今度は違う人かー』くらいの感覚。
その日はハーフパンツにタイツも穿いていたから大した事も出来なかろうと思い、そのまま無視を決め込んだ。
するとこっちが何も抵抗しないので痴漢は尻をがしがし揉みしだきだした。
初めから様子見する事もなく、変に積極的だなとズレた事を自分は思っていた。
私の目的の駅は3駅くらいなのでその日はすぐに解放されて終わった。
次の日、同じ電車に乗り、特に何の違和感もなく目的の駅に着いた。
正確にいえば、尻に多少のなにか当たるような感覚はあったけれど、この日は電車もそこまで混んでおらず、人と人の間隔もあった為、鞄か何かだろうと思った。
電車を降りようとすると誰かが一緒にくっついて降りてきて、三十代くらいのスーツの男に声を掛けられた。
すぐにピンと来て、『あー、昨日の痴漢か』と思った。
前にも痴漢には声を掛けられた事があったので、対して驚きはなかった。
単に今回の人は思ったよりも若いなという印象だった。
何がしかを言っていたがうまく聞き取れず、所詮痴漢なのでこちらも関わろうとせず、そのまま立ち去った。
しかし、それからも特に痴漢が居るからといって車両を変えたりする事もなかったため、週2~4くらいのペースで痴漢に遭っていた。
毎日寒くてタイツを穿いていたから、タイツの上から触られる分には別に問題なかろうという考えだった。
痴漢される事が日常化し、痴漢も目的の駅が近づくと手を離し乱した身なりを整えてくれるようになった。
(痴漢のくせに意外と紳士だな)とか、矛盾した事を思った記憶がある。
多少顔見知りにもなったような変な感じで、痴漢プレイと考えればいっかと気楽に考え、そのままにしていた。
ちなみに私のスペック。
25歳、会社員、158cm、やや痩せ形、似てる芸能人はあまり居ませんが、小動物系らしいですw
そして、去年の年末。
仕事納めの日に痴漢に遭った。
今年も最後だなーなんて考えていると、痴漢がいつもと違う行動に出た。
タイツの中に手を入れてきたのだ。
(・・・それはいかん)
軽く抵抗しようかと思ったけど、周りに人が沢山いる状況で、こっちが派手に動けば周りに悟られると思い、動けずにいると下着の中に手が入ってきた。
うわー、まずいと思ったけれど指が伸びてきて、さっきまでタイツの上から撫でられていた所をなぞられる。
そこが濡れているのは自分でも分かっていたため、凄く恥ずかしかった。
思ったよりも優しい手つきでなぞられて、思わず体がビクビクしそうになる。
クリトリスにも指が伸びてきて、優しい手つきで撫でられ変に感じてしまった。
そこで目的の駅に着き、痴漢はいつものように手を離し、身なりを整え、私もいつものようにそのまま電車を出た。
その晩は今朝の事を思い出してオナニーした。
年が明けて、少し自分は悩んでいた。
いつもの車両に乗るべきか否か。
服や下着の上から触られるだけならまだしも、見ず知らずの人間に生で性器まで触られているのはうら若き乙女としてはどうなんだ、と。
少し悩んだあげく、自分はいつもの車両に乗り込んだ。
よくよく考えてみなくても、自分はうら若きでも乙女でも純真でもなかった。
そして年が明けてからの痴漢との初遭遇。
やはり痴漢は下着の中に手を入れてきた。
服の上から触る時は、ぐいぐいと強めに触ってきていたのに対し、下着の中に手を入れてきてからは優しい指使いで触ってきた。
もともと少し乱暴に扱われるくらいの方が好きな自分としては少し物足りないくらいだった。
そして、その日から今度は胸を揉まれるようになった。
初めはコートの上から、次に会った時は服の上から、その次は服の中に手を入れられて直に揉まれた。
そんな頃、痴漢に再び声を掛けられた。
今度は電車の中で。
耳元で「今日の夕方時間ある?」と小さな声で囁かれた。
内心、遂に来たかと思った。
この時点で、初めて痴漢されてから数ヶ月は経過していたと思う。
正直、自分自身も段々と痴漢に興味を持ち始めていて、少し話してみたいと思っていた時期でもあった。
けれど、ここで行ったら確実にする事は決まっているだろうなと思い、小さく首を横に振った。
「明日は?」と聞かれて、ここでも首を振る。
というか仕事がその日、いつ終わるのか分からないという理由もあった。
「じゃあ今度、連絡先、紙に書いて渡して」
そう言われて、手を握られた。
その日はそれから痴漢も手を握る以外の事はせず、そのまま別れた。
次に痴漢に会ったのはその日から一週間を過ぎてからだった。
壁に寄り掛かって電車を待っていると、隣に男の人が来た。
「紙、持ってきた?」
そう聞かれて、相手の顔を見た。