学生時代、私がどんなに誘っても、見向きもしなかった彼から、突然の電話がありました。
自称陶芸家の共通の同級生から、個展に誘われたので付き合って欲しい、とのことです。
承知すると、案内状が送られてきました。
要は、売れない陶芸家のKが、彼の優しさに乗じ、生活費稼ぎのために作品を買わせようとして、自宅での個展を企画したもののようです。
菓子折りを土産にすれば、買い上げる必要はなくなるよ、と入れ知恵すると、彼は喜んで菓子折りを求め、二人で陶芸家の家へ行きました。
本当はこのままホテルに行ってしまいたいのですが、彼の方はまっすぐ、陶芸家の家を目指します。
癪に障りましたが、そっと手を出すと、びっくりしたような顔をしたものの、彼もすぐ手を握り返してくれました。
もしかしたら、帰りにホテルへ誘ってくれるかも、と期待は膨らみます。
狭い借家いっぱいに、独りよがりの作品が、並んでいます。
しばらく売れない作品に囲まれながらあれこれ話をしていると、陶芸家が突然私の身体をデッサンしたいと言い出しました。
もちろん裸を。
彼を見て、目顔でどうしようとたずねると、面白そうに、やれやれとけしかけてきます。