今32歳、夫婦と娘の3人で都会のマンション暮らしです。
主人は優しく穏やかな人で、日々の生活も平和な普通の家庭だと思い、満足していました。
ある日、親友の知子が話していた高校の同窓会の通知が来ました。
今までも数回開催されていましたが都合が悪く出席したことはありませんでした。
今回は障りになる理由もないので出席しました。
高校時代に淡い恋心を抱いていた真君も出席してました。
宴もたけなわになり、男性陣も女性陣もそれぞれ塊りになって思い出話や近況を伝える雑談に花が咲き、あっという間に予定の時間が過ぎました。
飲み足りない人、思い出話に興奮している人、皆さん二次会のお店に向かいます。
私はお酒も体質的に弱いし、親友の知子も来ていないので、失礼して一人で駅に向かい商店街を歩いていました。
後ろから突然肩を叩かれ、びっくりして振り返ったら、真君が傍にいてにっこり笑っています。
「真理ちゃんと話がしたかったけど、機会がなく残念だなと思っていたら、一人で駅に向かって帰って行くんで、皆には悪いけど急用が出来たことにして追いかけて来たんだ」
調子のいい子ではなかったので信じられるけど・・・。
「あらぁ、私に興味なんて全くなかったのに変ねぇ、別の誰かの間違いじゃないの?」と意地悪く言ってみた。
「そんなことないよ。
真理ちゃんのこと気になっていたけど、部活で毎日しごかれてさ、彼女を持つ意識がなかったんだよ」
真理ちゃんのこと気になっていたけど、部活で毎日しごかれてさ、彼女を持つ意識がなかったんだよ」
高校時代、恋愛に発展して楽しんでいた早熟な子もいたけど、恋心か憧れか、判然としないまま過ぎてしまった子も多かった。
私もその一人だと思う。
「真理ちゃん、急いで帰らなきゃならないの?僕とゆっくり話す時間ないの?」
単刀直入に聞かれどぎまぎしながら、思わず「良いわよ」って承諾してしまった。
後から考えると“赤い糸”が真君との間に繋がっていたみたい。
同窓会の人達に逢わないように、新宿にあるホテルのスカイラウンジで落ち合うことにして別々に行動をした。
秘密めいて、電車の中で気持ちの昂ぶりを感じたことを鮮明に覚えている。
実際は二次会に向かう人たちに対して会いたくないだけの単純な理由なのに、真君と示し合わせて秘密の行動をしている気持ちを持ってしまったことが予期していない結果になってしまった。
静かに流れる音楽の調べと光り輝く都心の夜景、家事と育児の平凡な時間を過ごしている主婦が、突然一番のお気に入りのワンピースと、夫からプレゼンントされた装身具で装い、高校時代に恋心を抱いた男性とラウンジバーでカクテルを飲めば、ただ訳もなく異次元の世界に入り、その場の雰囲気に流されて男と女の行きつくとこへ自然な形で収まりました。
主人とは週に二回、お互いの愛情を確かめるような、型通りのセックスを致しております。