大昔の話。
高校を卒業して、大阪の鉄鋼メーカーに就職した。
職場にも慣れた頃のある日、仕事帰りに先輩に、「◯◯、いい所に連れていってやるよ」と半ば強引に連れて行かれた先は、大阪九条の『◯◯料理組合』という看板が掲げられた色町だった。
先輩と歩いていると、店の中からオバチャンが、「いい女(子)いるよ」と声を掛ける。
先輩がオバチャンと色々交渉し、「◯◯、この店にしよう」と暖簾をくぐった。
2階の座敷に通され、しばらくすると2人の女性が現れた。
2人とも30代半ばで、性格がキツそうで普通体型のAさん、優しそうだが少しぽっちゃり体型のBさん。
先輩は、「俺は、Aちゃんと遊ぶわ」と言ったので、Bさんが俺に、「お兄ちゃん若いわねぇ、私なんかでいいの?」と聞いてきた。
あまり経験のなかった俺は、Bさんが思った通り優しそうだったので、「もちろんです。よろしくお願いします」と言った。
2組は別々の部屋に別れた。
通された部屋は6畳ぐらいで、鏡台しか置いておらず、一組の布団が敷かれていた。
Bさんは、「ちょっと待ってて。体洗ってくるわ」と出ていった。
残された俺は財布の中身を確認した。
1万2000円しか入っておらず心配になった。
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