バイトの一人が卒業してしまうために、欠員を補充する形で入ってもらったのだ。
チェーン店とはいえ、国道から少し外れた小規模な店だったので、店長夫婦と、日替わりで入るバイト一人の三人でまわしていた。
バイトは全部で4人だったが、同じ日に入ることは殆どないため、お互いに連絡ノートでしか面識がない、という程度の付き合いだった。
新しく入った人は、店の中に張ってあったバイト募集の張り紙を見て申し込んだらしく、俺が入っていた日に研修をかねて始めて店に顔を出した。
なぜか知らないが店長は俺を信用していて、俺にその人の指導役を頼んできた。
単に俺が一番古株だった、ということかも知れない。
とりあえず、俺が入る、水・木・土、にその人が来る事になった。
新しいバイトの人は、山田亜紀さん(もちろん仮名です)といい、
ぱっと見は大学生にもみえる、小柄な人だったので、結婚していると聞いて少し驚いた。
店長に見せてもらった履歴書によると、29歳で、近くのマンションに住んでいる、とのことだった。
栗色のショートカットに、落ち着いた感じのピアスをして、くっきりとした顔立ちの山田さんは、かなり俺の好みのタイプでもあった。